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アメリカでミュージカルを学ぶ!【詳細解説】

Musical Theatre 音大情報
この記事は約15分で読めます。

ミュージカルを志す方は、やはり本場のイギリス、アメリカでの挑戦に憧れますよね!

日本では「ミュージカル」だけど、英語だと”Musical Theatre”と言うことがほとんどだよ。”Musical”だけだと「音楽の」という意味がパッと浮かんじゃう。

シアターはTheatre/ Theaterどちらの綴りでもオッケー!

最近は日本でもミュージカルを学べる大学、専門学校があります。でも、アメリカは本場だけあって、その数がケタ違い。プログラムも専門的で豊富。プロのミュージカル俳優として育成してくれる環境が整っています。

お国柄でしょうか、音楽、スポーツ、エンタメはとにかく志す人の層が厚く、ミュージカルについても劇場・劇団が非常に多いです。だから訓練してくれる学校や環境も、卒業後に活躍できる進路もある。チャンスがあるなら、厳しくもやりがいがあるアメリカで感性も腕も磨けると良いですね!!

ここでは、アメリカでミュージカルを学びたい方向けに、アメリカで学ぶことの意義や方法を解説していきます。大学のMusical Theatre専攻については、アメリカの音大(大学)の音楽系専攻まとめでサクッと説明していますが、さらに具体的に見ていきますよ。

1. しっかり取り組めるアメリカならではの環境

Musical Theatre 2

私はこれまでに日米のミュージカルを垣間見てきて、環境の違いにかなり驚いています。

アメリカではミュージカルが日本よりずっと身近で、もっと生活の中に密着している感じです。子どもから大人まで楽しめて、無料や安いチケットも多い。別にニューヨークのブロードウェイでなくても、どこでも楽しめます。

私はミネソタの音大のCareer Servicesで求人調査・紹介のバイトをしていました。Twin Citiesだけでもミュージカルの求人やボランティアの募集がとても多くて驚きました。毎週必ずどこかで求人がかかり、夏になるとその数が膨大になります。

一体、Twin Citiesにはプロ・アマのミュージカルの劇場や劇団は幾つくらいあるの?

思わず、ボスに聞いてみました。すると…

星の数ほど!

と即答されました。

本当かな?!それじゃ、数えてみるか!

取り敢えず、自力で200くらいまでは数えたけど、それ以上は力尽きて止めました…

Twin Cities都市部の人口は約369万人。私の出身の横浜より若干少ない人口です。でも正直、横浜でミュージカルと言われてもパッと思い浮かびません…

また、アメリカはプロ・アマ問わず、ミュージカルに関わる人が圧倒的に多いと思います。

例えば、私のアメリカの友人に、こんな人たちがいます。

私は大学でドラムを専攻。今は全く別の仕事で会社運営しています。将来は自分でミュージカルをつくりたいです。少しずつ脚本を書いたり、準備をしています。

僕は大学卒業後、飲食関係で働いている。専門は音楽じゃない。でも、ミュージカルがすごく好きで、子ども達の舞台でディレクションしたことがあるんだ。またやりたいな!

こういう人たちがごく普通にいます。劇場へボランティアに行ったり、バイトするのも、よくあること。

対して、日本では音楽や演劇をやっている人は結構いますが、ミュージカルを見る人、関わっている人は圧倒的に少ない印象です。劇場、時期、演目もかなり限られています。チケットは割高…

お世辞にも文化として根付いているとは言えず、ミュージカルをやりたくても日本でやるのはとても大変だろうと感じます。

※日米の音楽環境の違いについては、アメリカ音楽留学のススメ【アメリカで音楽を学ぶって素晴らしい!】もチェックしてみてね!

2. アメリカでミュージカルをやるために不可欠な要素

Musical Theatre 3

本気でミュージカルをやりたいなら、やはり日本を出て本場で挑戦することをお勧めします。

では、アメリカでミュージカル、特に演者を目指すときの必須条件とは何でしょうか?

歌えること?

踊れること?

演じられること?

いえいえ、もっとその手前にあるものです。

あなたが現地の人のように英語を聞いて話せることだよ!

これは、当たり前ですが絶対に必要な要素です。

日本語のミュージカルを想像してみてください。もし、たどたどしい日本語や変なイントネーションで演じられたら、舞台は台無しです。

ミュージカルは会話、歌の連続なので、現地の言葉で聞く・話すができないと話になりません。プロ・アマ関係なく、ネイティブレベルのヒアリング、スピーキング能力が求められます。外国人としての見た目のハンデは大分減ってきましたが、言葉ができなければ門前払いは必至。キツいことを言いますが、これが現実なんです。

Vocalの人も同様です。ミュージカルも歌も「言葉」を「話す」ことが前提の芸術なので、その言葉を発することができなければ留学や挑戦をしたところで泣いて終わってしまいます。

だから、アメリカでミュージカルや歌をやるなら、まずは「現地人のように英語で聞く・話すことができる」を最優先に頑張って欲しいです。

3.ブロードウェイで活躍する人達が学んできた場所

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英語力はある程度クリアしたとして、次の問題はどこで学ぶかです。外国の情報はいまだに集めるのが中々難しいですよね。

もし、あなたがBroadwayで役を勝ち取りたいと思うなら、今、そこで活躍している俳優たちが、どこでどうやって学んで来たのか探れば、大体やるべきことの見当がつきます。

こちらの”10 Best Musical Theater Colleges, According to Actual Broadway Casting Data“という記事を見てみてください。Broadwayの18の異なるミュージカルで活躍するキャストのデータがあります(2016-2020年調べ)。そのうち、なんと94.83%が大学の学位を持っています。役名のある役を得ている人は97%が学位を取得。つまり、プロを目指すなら「大学で訓練を受けるべし!」ということになります。

「ミュージカルで大学?」と思う人もいるかもしれません。でも、アメリカでは本格的に学ぶなら大学へ行くんです。大学にミュージカル専攻や学科、学部が用意されています。先生方は経験豊富。現役であることも多いです。

私はVoiceの学生だったけど、クラスでミュージカルのパフォーマンスを学んだり、Juryの試験官としてミュージカルの先生がいたよー

それでは、どこの大学へ行けば良いのか?

先ほどの記事を見ると、Broadwayのキャストたちの出身校は多い順に下記の通りになっています。

  1. University of Michigan
  2. New York University (NYU)
  3. College Conservatory of Music (CCM) at the University of Cincinnati
  4. Carnegie Mellon University
  5. Boston Conservatory at Berklee
  6. Oklahoma City University
  7. Pace University
  8. The Juilliard School
  9. Marymount Manhattan College
  10. The American Musical and Dramatic Academy (AMDA)

以上の10校が全体の約30%を占めています。これらの学校はミュージカル・プログラムのトップ校として他でもよく名前を聞きますが、やはり音楽プログラムでも評価されている学校が多いです。

「卒業生を多く輩出している学校=Broadwayとコネクションがある」と言えます。どうせ行くなら、情報やチャンスがより多く入る学校が良いでしょう。

ただ、他の学校の卒業生も全体の63.2%いますので、あくまで目安くらいに考えてください。ご紹介した記事には、上記以外の学校の名前も出ているし、他にも良い学校が沢山あります。そちらも調べる価値が十分にありますよ。

4. 大学でミュージカル専攻する場合の具体的な内容

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(1) University of Michigan

では、実際に大学ではどんなことを学ぶのか?

Broadwayのキャストで一番卒業生の多かったUniversity of Michiganを見てみましょう。この大学はミシガン州デトロイトから南西に少し外れた場所にある州立大学で、医療、教育、音楽など様々な分野で名を馳せる名門大学です。アメフトチームも有名ですよ。

音楽分野でベスト・プログラムを持つ学校を探すと、必ずと言って良いほどUniversity of Michiganの名前が上位に出てきます。特にミュージカル・プログラムは、世界でも選りすぐりのプログラムだと評価されるほどです。

① School of Music, Theatre & Dance

具体的に、University of Michiganのミュージカルの学生はどんなことをしているのでしょう?

実は、YouTubeにUniversity of Michigan School of Music, Theatre & Danceの動画チャンネルがあります。その名の通り、School of Music, Theatre & Danceは、University of Michiganの中にある音楽、演劇・ミュージカル劇、ダンスの学校です。

その中から、いくつか動画をご紹介します。

”As You Like It.”

2021年公開でパンデミック以降のミュージカルのため、皆さんマスクをしながら演じています。ちょっと表情が分かりにくく、見にくいのが残念ですが、仕方ないですね…

Senior Entrance – MT20

すごくエネルギッシュで、楽しくて、ずっと見てしまいます。

”Musical Theatre Class of 2021 Showcase.”

こちらは劇ではなく、学生が一人ひとり歌っています。中にはプロか!と思う人もいます。名門だけあって、実力者達が集まっています。

“Time” by Katie Madison (BFA ’11)// Helen Shen & Christopher Tamayo, vocals // Eric Banitt, piano

こちらは、私の趣味で載せてみました。曲が素敵です。歌が上手い!!ハーモニーが素晴らしい!!女の子はアジア系アメリカ人でしょうか。これを見ると、「日本人は欧米人と骨格が違うから、欧米人のように歌えない」という一昔前に巷で流れていた説はウソだと分かります。

② プログラムの内容

次にUniversity of MichiganのMusical Theatreのプログラムを見ていきましょう。こちらで取れる学位はBFAです(※学位の種類などをご存知ない方は、「アメリカの音大(大学)の音楽系専攻で取れる学位とは?」をご覧ください)。

概要は次のとおりです。卒業単位数は124で、専門が75%、一般教養が25%です。

  • School of Music, Theatre & Danceで受講するもの(専門分野)94単位
    • Musical Theatre(ミュージカル劇)20単位:Musical Theatreの基礎、パフォーマンス、歴史
    • Theatre(演劇)25単位:演技法、歴史、ステージマネジメント、演習など
    • Dance(ダンス)12単位:バレエ、ダンススタイル、タップなど
    • その他、歌、ピアノ、音楽理論、人種・民族学のクラスが必修
  • Non-SMTD(専門分野以外)30単位:国語(英語)、外国語、アメリカ史または世界史が必修で、あとは好きな科目を取れます。
  • 卒業単位合計: 124単位

こちらが卒業までに取得しなければならないクラスの詳細です。各学期の履修モデルも掲載されているので、ぜひチェックしてみてください。

※なお、具体的に大学を探す場合は、必ず各学校のWebサイトで”Course Catalog”をチェックしてくださいね。各授業の概要やプログラム内容をはじめ学生が知らなければならないことが全て書かれています。→Course Catalogとは?

(2) Temple University

次に、日本校もある、あのテンプル大学をご紹介します。

本校はペンシルバニア州フィラデルフィアのTemple University。実は、本校はMusical Theaterを含むPerforming Artsが有名です。

ミュージカル関連はUndergraduateだけではなく、Graduateのマスター・プログラムにもTheater-Directing、Theater Instruction、Theater-Playwriting、Theater-Acting、Theater-Designがあるので、それだけ講師陣や内容が充実しているだろうと想像できます。

まずは、どんな感じの学校・学生達なのか、動画を見てみましょう!

Temple University Musical Theater Showcase 2022
Temple University Musical Theater Scene Study Spring 2015

Musical Theatre Majorで取得できる学位はBFAです。こちらに概要が書かれているのでチェックしてみてください。

卒業単位は124単位で、やはり歌、演技、ダンスの専門教育を受けます。ミュージカルの学生は、演劇学部と音楽学部のコアとなる授業を取らなくてはなりません。例えば、次のようなものです。

  • Ballet I, II and III for Musical Theater
  • Musical Theater Voice Acting
  • Senior Cabaret Workshop
  • Theater as a Profession

さらに、どんなクラスを取っていくのかは具体的にこちらに記載されています。

さて、ここで少し裏技的な話をするよ。

なぜ、私がTemple Universityを紹介したのかというと、次のようなことが考えられるからです。

まず、テンプル大学日本校(東京)にはミュージカル学部・専攻はありません(生涯教育ではミュージカルのコースが開講されています)。でも、日本校の学生になれば、本校へ留学してミュージカルを学ぶことができます。実は、私の歌仲間がこの方法で1年間、アメリカの本校でミュージカルを勉強してきたんです。

問い合わせてみないと分かりませんが、恐らく、一般教養を日本校、専門を本校で取るなど、やり方も色々あるんじゃないかと思います。

日本校へ行く良さは他にもあります。

  • 学生の半分以上が外国人かつ英語が公用語なので、日本に居ながら現地並みの英語環境に身を置ける。
  • 日本校で英語や一般教養、他分野を勉強しつつ、ミュージカルの勉強をする準備ができる。
  • 本校より学費がすごく安い!
  • 日本でコネクションをつくってアメリカへ行ける。

いきなりアメリカに行くのに不安がある方、費用を抑えつつ少しでも本場アメリカで学びたい方など…色んな要望を叶えられる、すごく良い方法だと思います。ビザも取りやすいだろうし、全部自分で諸手続きをして留学する場合より簡単だろうし、色々メリットがあると思うんです。

と言っても、私はテンプル大学の回し者ではありませんよ(笑)

でも、自分が留学先の候補を調べているときにテンプル大学も考慮しました。もし私がまだ大学へ行ったことがなかったら、この方法を取ったかもしれません。

下にリンクを貼っておくので、ご興味のある方は見てみてくださいね。

(3) 大学の短期コースなどでも体験できる

以上、大学の専門課程を履修した場合について説明してきました。

正規留学するほど時間、費用、労力をかけられない方には、興味ある大学の夏期講習や冬季講習で開講される、一般も参加できるミュージカル・コースがお勧めです。正規留学の予習にするのも良し、ですよ。

5. 学校以外での学び場 – The World Voice Ensemble –

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大学でミュージカルを学ぶと言っても、「もう日本の大学を卒業したし、また大学に行くのはちょっと…」という方もいるかもしれません。

そんな、

大学じゃなくても、アメリカでミュージカルを学べないの?

という方に朗報です!

ニューヨークにミュージカル・シアター・カンパニー、“The World Voice Ensemble”というNPO法人があります。

代表の”アームストロング 平川 眞希枝”先生は、藤原歌劇団、劇団四季に在籍された後、2000年にニューヨークに渡り、数々のミュージカルやオペラに携わってきました。そして、インターナショナルなバックグラウンドを持つアーティスト達が、もっとニューヨークで活躍できるようにと同法人を設立。

日本人だから、経験者だから、私たちが英語を使ってアメリカでミュージカルに挑戦することの大変さをよくご存知です。

多種多様な国々から、初心者からプロ志向の方まで受け入れて、発音矯正、ヴォイスレッスン、演技指導などを行い、オフオフブロードウェイに実際に出演できるワークショップを開催。そして日本においても、毎年夏にミュージカルをプロデュース、指導されてきました。

パンデミックになってからは、オンラインでのレッスンや映像ミュージカルを中心に、指導や創作活動をされています。

取り敢えずアメリカへの足掛かりが欲しい方、発音矯正したい方(日本語が母国語の私たちは、英語の発音を体得するまでかなり年月がかかります…泣)、ミュージカルってよく分からないけど面白そう!と感じた方、

“The World Voice Ensemble”

のサイトに飛んで見てみて下さい。きっと何かしらの突破口が見えるはず!ですよ。

個人的に繋がりのある先生なので、安心してお問合せください。お問合せの際は、こちらの「アメリカ音楽留学」のサイトを見たと一言お伝えいただければ幸いです。

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