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2020年コロナ禍でアメリカ留学希望者がすべきこと【シカゴから】

はじめに
この記事は約10分で読めます。

今年アメリカ留学を予定している方へ。こんな不安を抱えている方が多いのではないかと思います。

秋からアメリカへの留学を予定しているけど、新型コロナウィルスの影響でどうなるか分からない。本当に行けるのかな??

残念ながら、結論から言うとほぼムリ(泣)

初めからショックなこと言ってごめんなさい。世界的なパンデミックがいまだ収束しない状況で、アメリカ留学を検討中の方、予定している方、さらには渡米したものの帰国せざるを得なかった方、とても大きな不安やフラストレーションを抱えていらっしゃると思います。本記事では、シカゴ在住の私から、現在のリアルなアメリカの状況をお伝えすることで、皆さんが何らかの対策を講じる手助けになればと思います。

1. アメリカは実質的に学生ビザ発給を止める方針

7月6日、米移民税関捜査局(ICE)は、アメリカで学位の取得を目指している外国人留学生について、在籍する大学がオンラインのみの授業に切り替えた場合、アメリカから出国しなければならなくなる、もしくは強制送還の恐れがあると発表。

また、学生ビザを保有する留学生について、「オンラインで全講座を受講しながら米国に留まることはできない。」とし、「米国務省は、今秋学期の授業が完全にオンラインになる学校やプログラムに入学する学生にはビザを発給しない。米税関・国境警備局(CBP)も、そうした学生の米国への入国を許可しない」と加えた。>>>詳しくはこちら

7月14日トランプ政権が上記の新ガイドラインを撤回しました。>>>詳しくはこちら。

この発表は、実質的には「留学生の締め出し」です。アメリカでは秋に学生を呼び戻して再開する予定の学校もありますが、やはり新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、学期の短期化、対面授業の少人数化、オンライン授業の大幅な導入などが避けられません。例えば、ハーバード大学は最大で40%の授業を教室で行う方針と発表しましたが、全ての学生が出席できる訳ではないです。また逆に、60%はオンライン授業ということになります。

さらに、教室の授業とオンライン授業をあわせたハイブリッド授業を行う大学は、新ガイドラインの例外とされましたが、これらの大学も今後の感染拡大状況によっては、全授業をオンライン化せざるを得ないかもしれません。

そもそも、こんな状態でバカみたいに高い学費を払って留学する意味があるでしょうか。感染に怯えながら、social distancingを取り、基本的には自宅にいるようになります。本来なら学内、学外で色々感じ学び取れた環境は今はもうありません。また、多くの学校は、学費の払い戻しがありません。今のアメリカ留学は、リスクが高過ぎる上に、費用対効果が小さ過ぎます。

春学期まで学校に在籍していて、まだ取得すべき単位が残っている方は、秋学期から休学手続き(Leave of Absence)を取り、しばらく日本で過ごしたらどうでしょうか。もしくは、学位取得は諦めて、終了証明書(diploma)、準学士号(Associate Degree)を取得し、一度アメリカでの学業を終わらせて帰国するのもアリかもしれません。

実は、この発表に先立って、就労ビザなどの一部非移民ビザの新規発行を年内取り止めるという大統領令がありました。>>>詳しくは、こちら。トランプ大統領は、当初からアメリカとメキシコの国境に塀を造るなどと言っていましたが、実際に外国人の滞在は年々難しくなっていました。そこに、このパンデミック。現アメリカ政府は、新型コロナウィルスを利用して外国人の締め出しに本腰を入れています。以前は、金を落としてくれたり、アメリカに利益になる外国人なら入国しても良いという感じでしたが、パンデミックを機に大部分の外国人を一掃するつもりでしょう。アメリカ国内外の状況を見れば、そうすることにある程度の理解はできます。しかし、やり方が強引過ぎる。そして残念ながら、11月の大統領選で他の誰かが選ばれたとしても、この傾向は当面変わらないと思います。

2. 在日米国大使館・領事館でのビザ申請状況

3月18日から、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、在日米国大使館・領事館での非移民ビザおよび移民面接は一時的に停止されています。外交・公用ビザおよび、領事との面接を必要としない郵送でのビザ申請は、引き続き受付されています。>>>詳しくは、こちら

在日米国大使館・領事館は、「通常のビザ業務は、できる限り早急な再開を目指しますが、現段階において具体的な日程はお伝えできません。」と言っていますが、7月6日現在まだ再開されていません。

そのため、すでにアメリカの学校から滞在許可証I-20が発行され、在日米国大使館・領事館でビザ面接を予約していたとしても、キャンセルされてしまい面接ができません。つまり、学生ビザを新規に取得すること自体が不可能です。ただ、ビザ申請料金は支払日より1年間有効とのことですので、ビザ面接が再開され次第、有効期限内であれば新たに申請料金を支払うことなく再度面接を予約できます。

アメリカの学校では、通常、申請料金を払ってから1年間は申請可能なことが多いですし、入学許可が有効な間なら、自分が入学できる学期から始めることができます。とはいえ、アメリカの学校は新年度が9月から始まるので、色々考えるとやはり春より秋学期の入学が良いでしょう。渡航直前まで迫っている方については、世界的なパンデミックという特別な状況ですので、まず、学校側にビザの手続きができない状況を伝え、あわせて学校側の状況を聞き、どういった措置を取ってくれるのか確認することをお勧めします。その際には、ちゃんと自分の要望・希望を伝え、上手く交渉するという姿勢も大切です。しかし個人的には、仮に学生ビザがもらえたとしても、アメリカへの留学は当面見送った方が良いと思っています。

3. アメリカの新型コロナウィルス感染状況

現在、アメリカの新型コロナウィルス感染状況がどうなのか見てみましょう。

  • 確認済み感染者数:299万人(全世界の感染者数1,160万人)
  • 死亡者数:13.2万人(全世界の死亡者数53.7万人)
  • 州別の状況:感染の上位10州は次の表の通りです。
州名感染者数1日の新規感染者数死亡者数1日の新規死亡者数
ニューヨーク40.2万51831,9119
カリフォルニア27.8万11,5296,4456
テキサス20.9万3,4492,70629
フロリダ20.6万10,0593,77729
ニュー・ジャージー17.5万15,229
イリノイ14.9万6397,2506
マサチューセッツ11万1368,19811
アリゾナ10.2万3,5361,8324
ペンシルベニア95,1874796,7984
ジョージア91,0152,1971,4242
(2020年7月6日現在、Google調べ)

実は、記事を書いている今日は7月7日、七夕ですが、遂にアメリカの感染者累計が300万人を突破しました。

アメリカは現在、世界で一番、新型コロナウィルス感染者・死亡者が多い国です。春先はヨーロッパが流行の中心地となっていましたが、3月の終わり頃からアメリカで急激に感染者が増え、あっという間にヨーロッパを超えました。

3月11日にWHOがパンデミック宣言し、3月13日にトランプ大統領が非常事態宣言を発令。各州は次々にロックダウンしていきました。それにも関わらず、NYなどはあまりの患者の多さに病院のキャパを超え、私のいるシカゴでも数度、スマホに医療従事者へ協力を求める市からの緊急メッセージが届きました。食肉工場などで数百人単位の集団感染も起こりました(これについては、大統領令で、つつがなく食肉を供給するため閉鎖しないようにとのお達しがありました)。

感染拡大が落ち着いてきた5月20日までに、全50州が部分的に経済活動を再開しました。ところが、5月25日ミネアポリスでGeorge Floyd氏が警察によって窒息死するという痛ましい事件が起こり、パンデミックなど眼中にないような抗議活動や暴動が全米各地に広がりました。そして今も継続的に抗議活動は繰り返されています。

規制疲れ、再開による久々の人間らしい生活、夏という開放的な気候による緩み、人種差別に対する抗議活動、そういったことが起因したと思いますが、7月1日〜4日にかけては全米で連日5万人を超える感染者が報告され、1日の新規感染者数は過去最多を記録しました。

特に、テキサス、フロリダなど比較的早い段階で経済活動を再開した州に、顕著な新規感染拡大が見られます。テキサス州ヒューストンの集中治療室の病床はすでに満床です。また、各地で幼児を含む子どもの感染も目立ってきています。テキサス州では300人以上の子供たちが保育施設で感染。アリゾナ州の小学校では30人の生徒とスタッフの感染が確認されました。しかし、浅はかな人も多く、街のあちこちでマスクも付けずに集まる様子を目にします。マスク着用拒否や感染経路の調査拒否、さらに最近ではアラバマ州で学生がパーティーを開いて感染者を意図的に呼び、最初に感染した人に賞金を出すというゲームをしたというニュースがありました。

5月時点で米疾病対策センター(CDC)のファウチ所長は経済活動再開が早すぎると警鐘を鳴らしていましたが、まさにその通りになっています。そのファウチ所長は、6月28日、もし今の悲惨な拡大を防げなかったら、今後アメリカは1日あたり10万件の新規感染が起こり得ると話しています。また同じ頃、CDCは、アメリカの累計感染者数は確認されている数の10倍あるとの推定を明らかにしています。さらに別の専門家は、今、米南部の新型コロナウィルスの圧倒的多数は、感染力の強い変異株で、既に全米に広がっている可能性があると警告しています。

結局、現在ビーチやレンストラン、バーを閉鎖するなど経済活動を再び制限する動きが出てきており、外出禁止・自宅待機命令を発令中の州は25州以上に及びます。また、約20州で公共の場においてマスクの着用が義務付けられています。

教育関係では、新年度の9月から学校を再開する動きがありましたが、こうした状況を受け、専門家の中には今秋の学校再開も延期すべきだという人が出てきています。

4. 新型コロナウィルスは空気感染すると専門家らが発表

7月6日、日本や欧米など32ヶ国の専門家239人は、世界保健機関(WHO)や各国の保健当局に対し、「ウイルスが空気感染する可能性」を警告する公開書簡を出しました。飛沫や接触による感染に主眼を置いた従来の対策に加え、公共施設に換気設備などを導入するよう求めています。

公開書簡は、新型コロナ感染経路に関するこれまでの研究で、飛沫や接触を通じたものでないとみられる感染が報告されていると指摘。インフルエンザと同様、新型コロナも「同じ場所にいる人々が(空気中に漂う)ウイルスを吸い込み、感染し発病する可能性がある」と警鐘を鳴らしています。>>>詳しくはこちら

以前から空気感染の恐れは指摘されていましたが、WHOは否定し続けてきました。そもそもWHOはヒト・ヒト感染しないと当初言っていました。パンデミック宣言も蔓延が広がってから、かなり後です。こんな国際機関、何の為にあるのでしょうか。

しかし、これだけ多くの専門家が空気感染すると言っているので、各国政府は更なる対策を迫られるでしょうし、当然、学校など教育の在り方も変わっていかざるを得ないでしょう。

5. 今はアメリカ留学を見直し、計画を立て直すとき

これまでお話してきたように、今アメリカへ留学するのは全くお勧めできないし、ほぼ不可能だと思います。新型コロナが終息するまでには少なくとも数年かかるでしょう。また、その数年間で倒産するアメリカの学校も多いと思います。特に留学生の割合が高い学校は、それ自体が学校の経営が脆弱であることを示していますし、政府の実質的な留学生締め出しによって、学費収入を得ることができなくなり経営難に陥る学校もあるでしょう。

今は我慢のときです。本気でアメリカ留学をしたいなら、留学を数年先に延ばし、しばらくは日本から様子を見ると良いと思います。留学を見直し、計画を立て直し、準備に徹しましょう。

将来アメリカ留学を考えている方が、今、何ができるのか幾つかリストアップしてみました。よかったら参考にしてください。

  • アメリカで何を勉強したいのか考える
  • なぜアメリカで勉強したいのか考える
  • 勉強したいことは、アメリカでないとできないのか、他に方法はないのか考える
  • 学業終了後、アメリカでの就職・永住権の取得は困難だが、勉強のためだけの留学で良いと割り切れるか考える
  • どんな留学スタイルが自分に合っているか考える
  • 数年先の実現になってもアメリカ留学したいのか考える
  • いつ渡米するか具体的に考える
  • 留学費用を貯める
  • 学校、奨学金について調べる
  • 受験準備をする
  • 英語力を可能な限り引き上げる

留学を希望する方にとって今は辛い状況だと思いますが、アメリカが無くなる訳ではないし、必ず後でチャンスはやってきます。日本でできることは沢山あります。今のうちにいっぱい考えて、チャンスが来たらすぐ行動に移せるよう準備しておきましょう。

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