シカゴ観光で人気なのは?
シカゴ美術館は人気No.1って言えるかも。アメリカ三大美術館の1つだよ
シカゴ美術館は、アートな街シカゴの代表的な観光名所であると同時に、地元民からとても愛されている場所です。ニューヨークのメトロポリタン美術館、ボストンのボストン美術館とともにアメリカ三大美術館の1つに数えられています。
この度、パンデミックになってから閉館していたシカゴ美術館が久々にオープン!しかも最初の1週間、シカゴ住民は入場料無料という太っ腹!ってな訳で、早速行ってきました。
私は大のミュージアム好きで日本はもちろん、海外旅行をしては様々な美術館、博物館を見てきましたが、いや〜シカゴ美術館、素晴らしいです。ゆっくり見て回れば1日でも足りない。今回は都合で半日だけ行ってきましたが、もう感動と感情がぐちゃぐちゃになります。しかも、いつもは激混みなのにコロナであまり入場者がいなかったため、まるでプライベート美術館で人類の至宝を見ているような錯覚に。至福の時間でした。
1. シカゴ美術館の魅力
シカゴ美術館の魅力は、なんと言っても「歴史と芸術の宝石箱やぁ!」を地で行くところです。紀元前5,000年から現在に至るまでのコレクションが30万点以上あり、その中から常時2,000点が代わる代わる展示されています。時間、ジャンル、国、民族をも超越したコレクションで、長きにわたる人間の営みや芸術の変遷を見ることができる、いわば総合美術館です。
通常ならば博物館にあるような世界の歴史的遺物や、古今東西の青銅器、陶磁器、絵画、彫刻、建築、インテリアのミニチュア、文鎮、写真、フィルム・ビデオなどがシカゴ美術館1つにギュッと詰まっています。
特に、印象派の絵画コレクションは、パリを除けば世界最大規模です。19世紀後半、シカゴの富豪たちが当時ヨーロッパで評価されなかった印象派の作品を買い漁って寄付していたためです。その他、アメリカンアートやモダンアートも大変充実しています。
そうした傑作が、ガラスケースの中に入れられるでもなく、そのままの状態で展示されている。しかも色彩が鮮やかで保存状態が非常に良いです。何の障害もなく間近で鑑賞できると作品から受ける圧が全然違います!
作品を模写し研究している人も見かけます。アーティストには最高の場所ですね。
建物があまりにも大きく、中は迷路のようで、不意に出会う大作たちに唖然として立ちすくむ。。。そんなことを繰り返しながら歩みを進めていきます。
2. シカゴ美術館の基本情報
① 基本情報
シカゴ美術館は、英語名を”The Art of Institute of Chicago”、直訳すると「シカゴ美術研究所」と言います。前身が美術学校であったことに由来します。富豪たちが買い漁ったコレクションは学生たちのために美術学校へ寄付されました。この作品数が膨大過ぎて、1893年シカゴ万博を機に美術館が造られたのです。
今も大学・大学院部門があり、”The School of the Art Institute of Chicago(SAIC:シカゴ美術館付属美術大学)”は、UCLAやYale Universityと並び、全米No. 1と称されるほどの名門美術学校です。あのウォルト・ディズニー、アーティストのジェフ・クーンズ、ジョージア・オキーフ、ファッションデザイナーのシンシア・ローリーなど、世界的に著名なアーティストやキュレーターを輩出しています。デザイン、映像、修復、音響、美術療法など幅広い学科があり、学生は美術館へのアクセスが自由。さらに大学院生は個室アトリエを持つことができる。アーティストとしての環境が素晴らしく良いです。
写真の階段は美術館に入館するとすぐにあり、ウォルト・ディズニーが掃いた階段と言われています。ディズニー映画「ファンタジア」で魔法にかかったホウキが掃除するシーンはここから生まれたそうです。
またシカゴ美術館は大きな4つの建物からなり、建物自体もアーティスティックです。本館は1893年のシカゴ万博の時に建てられたボザール様式。正面エントランスにある2頭のライオン像は記念撮影スポットです。日本ギャラリー(屏風ギャラリー)は安藤忠雄による設計。2009年に建てられた新館 Modern Wing はレンゾ・ピアノによる設計になっています。増築が繰り返された結果、新旧入り混じった複雑な造りになっています。
② アクセス
ダウンタウンにあるので非常にアクセスしやすいです。
Google maps の中の”M”は電車の駅を表しています。
シカゴ美術館の最寄駅は、Brown、Green、Pink、Orange、Purpleラインなら、Adams/ Wabash駅(Adams/ Wabashは通りの名前です。Adams Street 側に出てください)。下車してからAdams Street 沿いに1ブロック歩けば美術館です。
Redラインなら、Jackson駅下車、同様にAdams Street 沿いに2ブロック歩けば美術館です。
バス路線も沢山あるし、車やレンタサイクルでも来れます。
美術館の入り口は2つあります。
③ 開館時間
現在、開館時間や一部展示室の入場は新型コロナの影響で制限されています。チェックルーム、館内カフェ、レストラン等は閉まっており使えません。館内を案内してくれるボランティアも不在です。
シカゴ市のガイドラインにより、入場受け入れは通常時の25%以下に抑えられています。
<開館時間>
- 月曜 午前10時〜11時:メンバーのみ、午前11時〜6時:一般開放
- 火曜 休館
- 水曜 休館
- 木曜 午後12時〜1時:メンバーのみ、午後1時〜8時:一般開放
- 金曜 午後12時〜1時:メンバーのみ、午後1時〜8時:一般開放
- 土曜 午前10時〜11時:メンバーのみ、午前11時〜6時:一般開放
- 日曜 午前10時〜11時:メンバーのみ、午前11時〜6時:一般開放
④ 入場料
大人$25、65才以上$19、学生$19、14-17才$19、小人・メンバー無料。
シカゴ住民はこれより各$5ずつ、イリノイ州民は$3ずつ値引きされた入場料となっています。優先入場できる Fast Pass は通常入場料+$10で買えますが、今は観光客もほとんどなく、地元民がふらっと来る程度で全く混んでないため使わなくても大丈夫です。
シカゴ住民はこれまで木曜の夜間帯など入場無料の時間帯がありましたが、開館時間が変更されたり入場制限されたりしているので、今現在は入場無料の時間設定はないようです。
オーディオガイドは$7ですが、これも現在、安全上の理由から貸し出されていません。その代わり、無料のアプリをダウンロードして説明を聞くことができます。
なお、普段は観光地5カ所を巡るお得なチケット、シカゴシティパスがあると優先入場できて、オーディオガイドも借りることができます。
⑤ 入館時の注意
パンデミック中のため、来館者には下記が義務付けられています。
- 館内はマスクまたはフェイスカバーの着用すること
- 他の人とソーシャルディスタンシング(約2m)を確保すること
<利用ガイドライン>
1. 写真撮影
個人利用目的の写真撮影が可能ですが、数点の作品には不可の表示があります。フラッシュ、ビデオ、三脚、自撮り棒の使用は不可です。
2. 電話
他の来館者を邪魔しない範囲で電話が使用できます。急な電話をする場合は、展示室外へ。
3. 持ち込み禁止の物
現在、チェックルームはクローズされています。安全のため持ち込みが禁止されている主なものは下記の通りです。
- 鉛筆を除く美術用具(インクペンを含む)
- 13×17×4インチ(33×43×10cm)以上の大きなバッグ
- バックパック
- バックパック型のベビーキャリー
- 買い物袋
- 飲食物
- 三脚、フラッシュ、ビデオカメラ
- 傘(折りたたみ傘は可)
⑥ おすすめ!アプリのダウンロード
シカゴ美術館は作品説明が聞ける無料のアプリを提供してくれていて、App Store、Google Playどちらでもダウンロードできます。
フロアマップ、作品説明が掲載されていて、検索することも可能です。このアプリがあれば、オーディオガイドは必要ありません。
メニューは日本語がありますが、コンテンツは英語です。
⑦ 美術館ハイライト
あまたあるコレクションの中から、手早く著名な作品を見るために、美術館が「この作品は見てね!」というハイライトをつくってくれています。フロアマップの裏側あるいは下記のURLで予めチェックしておけば、効率的に回れ、見逃しを防げます。
3. 圧巻のコレクション
地下1階から3階まで展示室があります。展示室以外に廊下、階段などにも素晴らしい作品があるので気を抜かずに回りましょう。
美術館の主な作品を紹介します。
【2階】
まずはこの美術館の1番の見所でもある2階から行きましょう。
シカゴ建築/アメリカンフォーク/1900以前のヨーロッパ絵画・彫刻/印象派/ヨーロッパ応用美術/中世・ルネッサンス/武装器具/建築・デザイン/現代美術/北アメリカ1860-1950のフロアです。
Hero Construction, 1958,
Richard Hunt, The Art Institute of Chicago
まず、入館してすぐのウォルト・ディズニーが掃いたという階段を見上げると、踊り場にこの作品があります。The School of the Art Institute of Chicagoの卒業生、Richard Huntの作品。神話に魅了された彼は、古いパイプなどガラクタを使ってこの作品をつくっています。
The Assumption of the Virgin, 1577–79,
Domenico Theotokópoulos, called El Greco, The Art Institute of Chicago
現在、「El Greco、野望と挑戦」展が2020年10月19日まで開催されていて、展示室211-215で閲覧できます。
この作品は、エル・グレコがスペインで行った最初の大規模な祭壇画です。空の墓から浮かび上がる聖母マリアと驚き狼狽する民衆の構図、対比が素晴らしく、力強い筆使いです。
<展示室201>
Gustave Caillebotte, The Art Institute of Chicago
2.13m×3mの非常に大きな作品です。雨に濡れた石畳の歩道が写真よりリアルに美しく描かれています。最新のファッションに身を包むカップル、足早に歩く男性、近代化された街、当時の何気ないパリの一日を切り取ったようです。そうした人工的なものを洗い流すような雨と雨空からも漏れ落ちる光のコントラストがとても美しいです。
<展示室240>
点描画で有名なスーラの作品。その精密さ、繊細さ、優美さを何と表現したら良いかわかりません。色彩、光、明暗、線、形状、どれをとっても非常に素晴らしい。陽気なはずなのに何故か影があるような謎めいた感じがします。
スーラはこの作品をつくる前に多くのスケッチと油絵を残しています。シカゴ美術館にも前段階のスケッチと油絵が保管されており、ニューヨークのメトロポリタン美術館にも油絵が残っています。
そして最終的に彼が納得し完成させた作品がこちらです。この作品は寄贈者の遺言により門外不出となっており、ここでしか拝めません。シカゴ美術館の目玉作品です。
<展示室241>
The Bedroom, 1889, Vincent van Gogh, The Art Institute of Chicago Self-Portrait, 1887. Vincent van Gogh. The Art Institute of Chicago Grapes, Lemons, Pears, and Apples, 1887 Vincent van Gogh, The Art Institute of Chicago
ゴッホの作品も数多くあります。”The Bedroom” は特に有名です。彼は3つの異なるバージョンで寝室を描き、1つ目はアムステルダムのヴァンゴッホ美術館に、2つ目はシカゴ美術館に、3つ目はパリのオルセー美術館にあります。フランスのアルルに引っ越して自分の家を持ったことが彼を高揚させ、これらの作品をつくる原動力になったそうです。ゴッホはこの絵でリラックスと平和を表現したかったと言いますが、実際に見ると不安定さや壊れやすさなど逆の印象を受けます。
ちょっと面白いのは、”The Bedroom”の右上に自画像と思われる絵がかけられていますが、実際に彼が描いた自画像がすぐ近くに展示されていることです。この自画像はスーラの影響を受け、点描で描かれています。
<その他の西洋美術>
Old Man with a Gold Chain, 1631, Rembrandt van Rijn, The Art Institute of Chicago Lunch at the Restaurant Fournaise (The Rowers’ Lunch), 1875, Pierre-Auguste Renoir, The Art Institute of Chicago Woman Bathing Her Feet in a Brook, 1894/95, Camille Pissarro, The Art Institute of Chicago Woman Reading, 1880/81, Édouard Manet, The Art Institute of Chicago Ballet at the Paris Opéra, 1877, Hilaire Germain Edgar Degas, The Art Institute of Chicago The Basket of Apples, c. 1893, Paul Cézanne, The Art Institute of Chicago At the Moulin Rouge, 1892/95, Henri de Toulouse-Lautrec, The Art Institute of Chicago Mahana no atua (Day of the God), 1894, Paul Gauguin, The Art Institute of Chicago The Interior of the Palm House on the Pfaueninsel Near Potsdam, 1834, Carl Blechen, The Art Institute of Chicago
レンブラント、ルノアール、ピサロ、マネ、ドガ、セザンヌ、ゴーギャン、ロートレックなどの作品がこれでもかというほどあります。ただ今回はほとんどモネの作品が展示されていませんでした。貸し出し中かな?
<展示室262-263>
Nightlife, 1943, Archibald John Motley Jr., The Art Institute of Chicago Weaving, 1936, Diego Rivera, The Art Institute of Chicago American Gothic, 1930, Grant Wood, The Art Institute of Chicago Nighthawks, 1942, Edward Hopper, The Art Institute of Chicago
北アメリカの1860-1950アートではNighthawks、Nightlife、Weavingが、そしてアメリカで有名なAmerican Gothicがあり、この前で同じポーズを取って写真を撮る人が多発。
<展示室288-299>
Starry Night and the Astronauts, 1972, Alma Thomas, The Art Institute of Chicago Four Mona Lisas, 1978, Andy Warhol, The Art Institute of Chicago Mr. Pointy, 2011, Takashi Murakami, The Art Institute of Chicago
コンテンポラリーアートのエリアではStarry Night and the Astronauts、ウォホールの作品や村上隆さんの巨大な作品が見ものです。
この他、建築とデザインの展示室もあります。
<1階と2階の踊り場>
そして1階と2階の間にはThe School of the Art Institute of Chicagoの卒業生でもあるGeorgia O’Keeffeの大作、Sky above Clouds IVが掲げられています。
【3階】
The Old Guitarist, late 1903–early 1904, Pablo Picasso, The Art Institute of Chicago Jacques and Berthe Lipchitz, 1916, Amedeo Modigliani, The Art Institute of Chicago White Crucifixion, 1938, Marc Chagall, The Art Institute of Chicago Inventions of the Monsters, 1937, Salvador Dalí, The Art Institute of Chicago Bathers by a River, 1909–10, 1913, and 1916–1917, Henri Matisse, The Art Institute of Chicago
3階は国際近代アート、現代彫刻のフロアです。青の時代のピカソの作品、The Old Guitaristを筆頭に、モディリアニ、シャガール、ダリ、マティスなどの作品を楽しむことができます。
【1階】
インド・東南アジア・ヒマラヤ/中国・日本・韓国アート/北・中央・南部アメリカアート/アフリカ/プリント・ドローイング/古代地中海・ビザンティン/北アメリカ1650-1910/映画・ビデオ・ニューメディア/写真のフロアです。
1階ホール©︎Chiharu Tripod Cauldron oF Ran (Ran ding), Late Shang dynasty, 13th–11th century B.C., China, The Art Institute of Chicago Horse, 5th–6th century, Japan, The Art Institute of Chicago Buddha Shakyamuni Seated in Meditation (Dhyanamudra), Chola period, about 12th century, The Art Institute of Chicago Female Figurine, A.D. 1450/1532, Inca, The Art Institute of Chicago Standing Male Figure, A.D. 650/800, Maya, The Art Institute of Chicago Face Mask (Ngady Mwaash), Late 19th/mid–20th century, Kuba, The Art Institute of Chicago Amphoriskos (Container for Oil), 600/575 BCE, Ancient Greek, The Art Institute of Chicago Mosaic Fragment with Man Leading a Giraffe, 5th century Byzantine, The Art Institute of Chicago
1階は古今東西の古代芸術や歴史的な遺物を見ることができます。人類が繋いできた長い歴史を、世界各地を比較しながら見ると非常に興味深いです。
日本の埴輪やお茶の道具などもあります。葛飾北斎の作品が多く所蔵されていますが、今回は全く展示されていませんでした。プリツカー賞を受賞している日本の建築家、安藤忠雄さんが設計したAndo Gallery(屏風ギャラリー)はとても美しい空間なので是非行ってみてください。
<展示室144>
1階の回廊を歩くとChagallの美しいステンドグラス、America Windowsを見ることができます。その隣、1階の一番奥には、かつてのシカゴの証券取引所があります。
Chicago Stock Exchange Trading Room: Reconstruction at the Art Institute of Chicago, 1893/94 (original built)
1972 (original demolished)
1976/77 (reconstructed)
Adler & Sullivan, Architects, The Art Institute of Chicago
【地下1階】
写真/ミニチュア/文鎮/建築・デザイン/イスラムアート/テキスタイルのフロアです。
Untitled, 1920/40, Peter Cohen, The Art Institute of Chicago Clay Filter with punched and inscribed decoration, Fatimid dynasty (969–1171), 11th–12th century Islamic, The Art Institute of Chicago
<シカゴ美術館公式サイト>
最後に、こちらシカゴ美術館の公式サイトでバーチャル美術館を楽しむこともできます。展示されてない所蔵品も全てデータ化されています。
混んでいる時間帯なども表示されていて、とても便利です。
4. シカゴ美術館の周辺情報
実はシカゴ美術館のお向かい、薬局Walgreensの横にルート66の出発点があります。見逃しがちですが、せっかくなので来館のついでにぜひチェックしてみてください。