アメリカへ大学留学をお考えの方、日本でもアメリカでも専攻を決めかねている方へ。
専攻決めって、かなり迷いますよね?
専攻決めなくちゃだけど、あれも気になるし、これも気になる。。。
自分欲張り過ぎ?!
私は昔からずっと日本で文系、理系、芸術系、体育系みたいに分かれているのが不思議で、大学でも専攻を1つしか取れないのが理解できませんでした。2つの大学に在籍することもできない。
学問はどれも繋がっているし、人の興味は1つとは限らないのに…実際、大学の法学部時代、私は時間のあるうちに心理学も本格的に勉強したくて、別の大学で通信やろうとしたら断られました。
そもそも日本の大学受験とか、偏差値とか、バカみたいだと思いませんか?専門性や社会の知識もない17、18歳の子が無理矢理専攻決めて必死に大学受験して。中には、とにかくお目当の大学に入りたくて、幾つもの学部を受験する子もいます。本末転倒というか、全然合理的じゃない。
そんなYouはアメリカの方が合ってるよ!
もし同じような考えの方がいたら、日本よりアメリカの大学の方が適していると思います。アメリカなら、厄介な日本式大学受験はないし、入学時に専門を決める必要はないし、専門を1つに絞る必要もないです。2つ以上の大学に在籍だってできるし、転部、転科、転校だって簡単です。
本記事では、実際にアメリカの大学に入学、転校、転科、卒業した筆者の経験や友人たちの情報に基づいて、アメリカの大学での欲張りな専攻の取り方、さらに転部、転科、転校の方法について解説します。
このウェブサイトでは、留学前に絶対知っておいた方が良い情報を「アメリカ留学Tips」としてシリーズでお伝えしていますので、真剣に留学(特に大学留学)を考えている方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。
1. アメリカの大学の欲張りな専攻の取り方!
(1) 専攻を決めるのは3年次で良い
一般的に、アメリカでは入学時に専門を決めておく必要がありません。多くの場合は3年次から専門分野を履修できるようになり、それまでは一般教養(Liberal Arts)を履修します。
もし3年次に1つの専攻に絞れないようなら、Liberal Studiesを専攻すれば様々な分野を勉強することができます。Liberal Arts Collegeという一般教養を中心にコース設定している大学もあるくらいで、4年間幅広く色んなことを学ぶことをコンセプトにしています。
アメリカの大学は、専門は大学院課程でやり、学士課程では様々な学問を広く学ぶものとされているので、学部生の段階では一般教養が重視されます。極端なことを言えば、そもそも大学で専門をガッツリやるなんて考えてないんです。
そのため、早く専門をやりたい人は、アメリカの学士課程は全く物足りないと思います。そういう人は、Bachelor of ArtsやBachelor of ScienceのDegree Programではなく、専門に特化したプログラムを取ると良いです。Bachelor of ArtsやBachelor of Scienceと比べ、専門に特化したプログラムでは卒業までに倍近くの専門の単位を取得することになり(約120単位のうち90単位くらいが専門)、大学に入ったときからしっかりと専門分野を勉強できます。
専門のプログラムの例を挙げると、次のようなものがあります
- Bachelor of Social Work
- Bachelor of Fine Arts
- Bachelor of Business Administration
- Bachelor of Music
- Bachelor of Liberal Arts
私自身はアメリカの大学で音楽を勉強したくて、「今さらまた一般教養なんてやりたくない。とにかく音楽をしっかりやりたい」と思っていたので、McNally Smith College of MusicのBachelor of MusicのDegree Programに入りました。音楽専門のプログラムです。さらに日本の大学の単位を移行したので(主に一般教養分)、1年目から音楽の授業しかありませんでした。
そして3学期目でMcNallyが財政破綻により急遽閉校となったため、転校せざるを得なくなってColumbia College Chicagoへ行きました。時間的・経済的理由などで、Bachelor of Artsの一般教養分がなく専門だけ勉強できる2BA Programに入ったのですが、そのときはコースの詳細を知らなかった。クラスを取っているうちにMcNallyのときと比べて全然専門性を深められないことが分かり、ただただショックだった…
こんなこともあるので、特にやりたいことが明確な人はプログラム選択を慎重にね!
(2) 専攻の取り方を解説
アメリカでは、専攻は1つでも、2つでも、3つでも同時に取れます。さらに異なる学位プログラムを同時に取ることもできるので、例えば、学士と修士を一緒に取ることも可能です。
では、アメリカでは専攻を選ぶのに、どんな方法があるのか解説していきます。
① 主専攻(Major)
主専攻はMajorと言います。日本で「私は○○専攻です」という時の意味と同じです。
② 副専攻(Minor)
副専攻はMinorと言います。Minorとは、Major程ではないけど、ちょっとかじっておきたい専門分野を追加することです。Semesterの学校なら、Minor分野は、Majorとは別に、おおよそ14〜18単位くらいを取得することになると思います。
日本にはない制度ですが、アメリカではMajorとMinorを取るのは一般的です。例えば、私のMajorはVoice Performanceでしたが、次第にMusic BusinessかProductionをMinorで取った方が良いなと思うようになりました。音楽業界で生き残るにはMusic Businessの知識が欠かせないし、パフォーマンスしたり作品をつくる上ではProductionを知っておいた方が絶対に良い。さらにこの2つをやっておくと職を得るチャンスがグーンと上がる。。。こんな風に、主専攻の可能性を広げるためにMinorを取るのはよくあることです。
MinorはMajorと関連した分野である必要はありません。EngineeringがMajorの人が、同時にArtでMinorを取ることだってフツーにできます。自分の興味に応じて取れば良いです。
③ 複数専攻(Double Major)
同じ学位名(Degree name)の下で2つの異なる専攻を取ることをDouble Majorと言います。2つ専攻しても取得できる学位は1つで、成績表に2つの分野で取得した単位が表記されます。
卒業単位数は学校により異なりますが、重複するコースは1回だけ取れば良いので、2つ別々に取るより短期に終わらせることができます。標準的な学士課程(Undergraduate Degree Program)は卒業まで4年間かかることを想定したプログラムになりますが、2つ専門を取ってもやはり4年で終わることが多く、大変ではありますが時間とお金を節約でき、チャレンジする人も少なくありません。
私のクラスメイトにDouble Majorの子がいて、彼女はBachelor of Artsという学位プログラムの下でVoice PerformanceとMusical Theaterの2つを専攻していたよ
学校によっては、関連性のある専攻を組み合わせてDouble Majorのコースとしてオファーしているところもあります。
チャレンジする場合は、Academic Adviserに相談してください。多くは専門に入るのが3年次からなので、2年次までに相談するようですが、入学時からでも構いません。Academic Adviserとは、学業に関する手続き的なことを何でも相談できる学校のスタッフです。学生一人ひとりに担当のAcademic Adviserがつくこともあります。
なお、中にはDoubleではなくてTriple、3つの専攻を取る猛者もいます。
④ 複合専攻(Double Degree/ Dual Degree/ Joint Degree/ Combined Degree)
複合専攻は、Double DegreeやDual Degreeなど色々呼び方はありますが、要は一度に異なる学位を異なる分野で取得するもので、2つの学位を取得することになります。別々に取るより時間とお金を節約できますが、学位取得まで5年はかかります。
Double MajorとDouble Degreeは似てるけど違うから注意してね
学位の組み合わせの例としては、次のようなものがあります。
- 2種類のBachelor’s Degree(Bachelor of ArtsとBachelor of Scienceなど)
- Bachelor’s DegreeとMaster’s Degreeを1つずつ
- 2種類のMaster’s Degree
- Master’s DegreeとProfessional Degreesを1つずつ
※なお、アメリカの学位の詳細解説については、こちらをご覧ください。
Double Degreeは1つの大学で2つを専攻することもあれば、他大学や海外の大学を含めてできる場合もあります。いずれにしても、やはりAcademic Adviserに相談してください。
2. 転部、転科も簡単!
専門を変えるときは、やはりAcademic Adviserに相談してください。同じSchool内(日本でいうと学部に当たると思います)の違う専攻に変えたいときは、Academic Adviserに相談しに行けば、すぐに変えてくれると思います。
私はColumbia College Chicagoで最初にVoice Performanceを専攻したけど、途中でContemporary, Urban, and Popular Musicに変えるのにAcademic Adviserが秒でやってくれたよ
注意点としては、やはり専攻を変えると必修単位が変わってくることです。変える際は、新しい専攻の必修科目や単位移行がどれくらいできるのか確認し、卒業までの期間を再計算する必要があります。その辺はAcademic Adviserが詳しく教えてくれると思います。
同じ大学内の全く別の分野に専攻替えする時も、やはり自分の担当のAcademic Adviserに聞くところから始めましょう。恐らく、学部として必要なものを追加提出するくらいで転部・転科できると思います。Academic Adviserが新しい専攻先との調整や橋渡しをしてくれるはずです。
3. 転校も簡単!
入学した学校が合わないと思うことはあり得る話です。「あれ?この学校、何か違う」と思ったら、アメリカの大学は転校が簡単にできるので、考えてみるのも良いと思います。中には1回、2回、3回と転校を繰り返している学生もいますよ。
アメリカの大学には日本のような大学受験がないので、基本的には必要書類や成績表の提出だけで転校できます。しかも入学試験や入学できるタイミングは学期ごとの大学が多いし、中には随時行っているところもあって、チャンスに恵まれています。
転校するときは、転校先の学校の入学手順に従って申請します。まずはInternational Student Adviserに連絡を取り、手続きや条件などを聞きます。専門分野のプログラムやクラスのことを知りたければ、Academic Adviserや先生に繋いでくれると思うので、直接質問もできます。学費や奨学金のことも臆せず質問しましょう。
一般的に共通して必要な提出書類は、次のようなものです。
- エッセイ
- 元の大学の成績表(単位移行の確認をするためにも必要)
- 高校の成績表
- TOEFLスコア(※アメリカの大学で1年以上勉強していれば、できるものとしてスコア提出を不要にしてくれたりすることがあります)
- 銀行の残高証明書
- 予防接種の証明書
- F-1ビザのコピーまたは画像データ
- 最新のI-20(元の大学のInternational Student Adviserに発行してもらう)
※この他、学校や専門によって提出するものが変わってきます。
注意点は、大学によって取得している大学認定が異なるので、これをちゃんと確認しておかないと単位移行できないなどのトラブルになり、学費と時間を無駄にしかねないことです。(詳しくはこちらをご覧ください)
デメリットとしては、転校先の学校で、前の学校でやったことの重複が結構あることです。特に専門科目については、前の学校の単位を認めてくれない場合があるし、テストアウトしても、半年〜1年は余計にかかります。
McNally Smith College of Musicが突然閉校してしまったとき、私はいくつかの大学に問い合わせて入学条件、必要書類、学費、奨学金、どんなコースをオファーしているか、自分の勉強したいことができるのか全部確認していきました。その中の1校は、学費や寮費で年間$45000くらいかかる私立大だったのですが、やり取りしている中で、奨学金でほとんどカバーできるから$7000くらい自腹で払えれば良いよと言ってくれました。多分、McNallyで既に勉強してたから、そういう評価をしてくれたのだと思います。残念ながら、専門性がちょっと合わなかったのと、入学できるタイミングが合わなかったので行きませんでしたが、ある程度アメリカの大学で勉強していると有利に物事が運ぶことがあるんだなと思いました。