アメリカへ大学留学をお考えの方へ。
アメリカに留学して得られる学位や資格のこと、知ってますか?
日本と異なり、色々な種類があって分かりにくくないですか?
日本では、一般的に、短期大学で取れる学位は短大学士(準学士)、四年制大学なら学士ですね。
アメリカでは、もっと色々なオプションがあり、取得できる学位や資格は大学によって異なります。そのため、あなたが欲しいものに応じて、それをオファーしている学校やプログラム(課程)を探すことになります。
本格的に大学留学を考えているなら、最初から卒業時の学位や資格を考えておくべきでしょう。ただ、そこはやはり異国の地。日本と異なるため、分かりにくい部分があります。
本記事では、そんな疑問が解決できるよう、アメリカの大学で得られる学位や資格=プログラム(課程)について体系的に解説します。
このウェブサイトでは、留学前に絶対知っておいた方が良い情報を「アメリカ留学Tips」としてシリーズでお伝えしていますので、真剣に留学(特に大学留学)を考えている方は他の記事もチェックしてみてください。
1. 大学にある学位・資格プログラムの概要
まず、アメリカの大学では、学業終了時に取得できる学位や資格に合わせて課程(Program)が設定されています。大学と大学院は分かれておらず、大学の中にUndergraduate(大学課程)とGraduate(大学院課程)があります。学校によって異なりますが、1つの大学でオファーしている課程(Program)には、次のようなものがあります。
Undergraduate(大学課程)
- Certificate/ Diploma
- Associate Degree
- Bachelor’s Degree
- Second Bachelor’s Degree
Graduate(大学院課程)
- Master’s Degree
- Doctoral Degree
- Professional Degree
Undergraduate(大学課程)のCertificate/ Diplomaと各Degreeとの違いは、簡単に言うと単位数です。次の順で取得しなければならない単位数が多くなります。
Certificate/ Diploma < Associate Degree < Bachelor’s Degree
しかし、専攻が同じなら、コアな部分の必修科目はどのプログラムでも共通していて、皆一緒に同じ授業を受けています。
それでは、次からアメリカの大学で取れる学位や資格を説明していきます。
2. CertificateとDiploma(修了証明書)
どちらも学位ではなく、1年くらいのCertificateあるいはDiploma Programを終えたときに取得できる修了証明書です。
もともとDiplomaは、高校の修了証明書を意味しました。しかし、大人になってから高校の卒業資格が欲しいとか、GED(日本でいう高卒認定)と呼ばれるテストに合格したい人のために、多くの大学でGEDの合格に標準をあわせた大人用のクラスを提供するようになりました。そうした大学は、特定のクラス(高校の必修科目に近いもの)や、短期課程としてDiploma Programをオファーしているので、学業終了時にはDiplomaがもらえます。
Certificateは高校の必修科目と関係なく、ある特定のクラスを修めると与えられるものです。中には学位よりも職に関連したスキルがあるかどうかを重要視する雇用者がいて、そうした場合はわざわざ学位を取る必要がないのでCertificateで十分となります。ちなみにCertificate of CompletionとCertificate of Achievementとありますが、定義や取得するための条件は州や学校により異なります。
DiplomaとCertificateは元々異なるものを指しましたが、現在その区別が曖昧で、大学の中にはCertificate Programを”Diploma”と呼ぶところがあります。また、高校の卒業証明をCertificateと呼ぶこともあります。
3. Associate Degree(短大学士)
Associate Degreeは、日本でいう短大学士、準学士に相当するものと考えて良いでしょう。一般的には、Community Collegeという2-3年制の大学で取得できます。Community Collegeは日本の短大のように期間が短いですが、内容は一般教養がメインとなります。中には、学校や学部によって専門プログラムを持っているところがあります。
また四年制大学のUniversityやCollegeでも、Associate Degree Programをオファーしているところが沢山あります。
Associate Degree(短大学士)は、大まかに言うと次の2つに分けられます。
- Associate of Arts: A.A(文系短大学士)
- Associate of Science: A.S(理系短大学士)
Associate Degree取得までには、Semester制(2学期制)の学校であれば60単位以上、Quarter制(4学期制)の学校であれば90単位以上が必要となります。
もし、あなたがCommunity Collegeにまず入って、後に四年制大学への編入を考えているなら、Community CollegeのTransfer Programに入って、A.AまたはA.Sの学位を取得すると良いでしょう。そうすれば、四年制大学で一般教養課程を2年分取るより、かなり安上がりになります。
Community College、College、Univeristy、アメリカではどれも「大学」です。偏差値はありませんし、ランク付けで比較することもできません(便宜上ランキングはありますが)。どこで単位を取っても評価は同じで優劣はないです。なので、将来行きたい四年制大学に最も単位移行しやすいCommunity Collegeに入って単位移行すれば、4年間をCollege、Univeristyで過ごすより金銭、時間、労力をかけずにに済みます。
Community Collegeの中には、職業訓練を目的としたVocational Programと呼ばれるものをオファーしているとこがあり、その場合はAssociate of Applied Science(AAS)やAssociate of Applied Arts(AAA)などの学位を取得できます。
Vocational Programでは、一般教養科目は最低限に抑えて、専門知識や専門技術を習得することに比重が置かれています。学位取得まで3年のProgramとして設計されていることもあります。こうした専門性の高いプログラムの中には、四年制大学の専門を凌ぐような、素晴らしい内容のものがあります。
ただ、学位としてはAssociate Degree(短大学士)なので、Vocational Programを修了した後に四年制大学に編入して学士のタイトルを取りたいと考えるなら注意が必要です。Vocational ProgramでAASやAAAを取得した場合は、一般的に、四年制大学への単位移行が難しく、また一からその大学のプログラムを始めなければなりません。
4. Bachelor’s Degree(学士)
Baccalaureate Degreeとも言います。日本でいう学士です。日本と同様、UniversityまたはCollegeのUndergraduate Program(大学課程)を卒業すると取得できます。
Bachelor’s Degree(学士)でよく目にするのは次のようなものです。
- Bachelor of Arts: B.A.ー文系
- Bachelor of Science: B.Sー理系
- Bachelor of Fine Arts: B.F.A.ー芸術系
専攻分野を表記する場合は、B.A. in ◯◯、B.S. in ◯◯と表します。例えば、私は日本の大学で法学部を卒業していますが、この場合は”B.A. in law”です(※アメリカでは、通常、法律は学部ではなく大学院で履修します)。
Bachelor’s Degree Programの場合、卒業に必要な単位数は約120〜128単位で、期間としては4〜5年になります。
また、専門に特化した学位もあります。例えば、音楽に特化したBMusという学位はBachelor of Musicの略です。B.A. in musicでは、専門分野(音楽)の必修単位が45〜50ですが、BMusは倍の約90単位を専門分野(音楽)で取得するので、専門性がかなり高くなります。
5. Second Bachelor’s Degree(第2学士)
この学位は日本には無いので少し分かりにくいですね。
Second Bachelor’s Degree(第2学士)は、すでに学士号を持っている人が、違う分野で2つ目の学士(2BA)を取るときに使います。
特徴としては、一般教養の履修が無く、専門分野の単位のみで学位が取れることです。Semester制の場合は専門分野45〜48単位程(1年半〜2年)を履修すると卒業できます。
ただ、前述のBMusなど専門に特化した学位ではなく、あくまでB.A.なので、専門はなめる程度で終わってしまい、深く勉強したい人には向きません。すでに学士を持っているなら、分野を変えるとしても特段の理由が無ければ大学院課程に入った方が良いと思います。もし大学院課程の入学条件に大学課程で履修しておかなければならない単位があるなら、必要なものだけ取って大学院課程へ進むことができます。その辺もアメリカは柔軟です。
Second Bachelor’s Degree Programに入るのは、こんなときです。
- 専攻を変える場合で、手っ取り早く新しい専攻の単位と学士号が欲しいとき
- Master Programへの入学や就職するまでのツナギとして
- ビザ取得のため(学生ビザはお金さえ払えば簡単に手に入るので)
もちろん、普通にBachelor’s Degree Programに入り直して学士を取ることもできます。一般教養など可能な限り日本の大学の単位を移行すれば、在学期間を短くして2つ目の学士号を取ることが可能です。と言っても、やはり卒業まで2年〜3年くらいかかると思います。
アメリカ人に2つ目の学士を取ると言うと、分野変えをしたとしても何故マスターへ行かないのかと不思議がられます。専門は大学院で本格的にやるものという頭があるからかも知れません。
ここで少し私自身の体験談を
もし、あなたが日本の短大や大学で単位を取得していたら、留学先候補の大学にはどのくらい移行を認めてくれるのか予め聞いておいた方が良いですよ。知っていたら、選ぶ学校やプログラムが変わってくるかもしれないので。
6. Master’s Degree(修士)
Master’s Degreeは、日本でいう修士です。一般的にはBachelor’s Degree取得後、Graduate(大学院課程)のMaster’s Degree Programで、約1〜3年、180単位くらいで取得できます。入学条件として、実務経験を要求するプログラムも一部あります。
留学してアメリカでの就職を考えるなら、Master’s Degreeの取得は事実上必須です。Master’s Degreeを持っている人は就職できる可能性が高くなりますし、お給料も高くなるし、H-1Bビザ(就労ビザ)を取得できる可能性も高くなります。というのは、H-1Bビザの抽選では、Master枠で落ちてもBachelor枠で拾ってもらうことができるからです。
でも、もしMaster’s Degreeは労力的・経済的に荷が重いと思うなら、Postgraduate CertificateやPostgraduate DiplomaというMaster’s Degree Programよりも短い期間の大学院課程もあります。学校によりますが、一般的にPostgraduate Certificateは6ヵ月で60単位、Postgraduate Diplomaは1年で120単位くらいで取得できます。
なお、日本では学士、修士、博士と同じ大学で取得することが珍しくありませんが、アメリカでは留学生含めて、全部違う大学で学位を取るのが一般的です。環境を変えながら勉強し、新しいネットワークをつくったり、自分の可能性を探ったり、チャレンジするのが当たり前という空気があります。
7. Doctoral Degree(博士)
Doctorate Degreeとも言います。Master’s Degreeから更に4-8年くらい勉強して取得できる、最上位の学位になります。
Doctoral Degree(博士)は大別すると、Academic Degree(Doctor of Philosophy: Ph.D.)と Applied Degree(Doctorate, Professional Doctorate, Applied Doctorate, Terminal Doctorateなどとも呼ばれます)の2つに分けることができます。
Ph.D.は、研究に基づく博士号で、取得には博士論文の提出が必要になります。ここでいうPhilosophyは哲学に限ったものではなく、広く学術一般を指していて、知の追求や研究を意味します。現在ある様々な学問は元を辿れば哲学から生まれていますから、どれも突き詰めていくと哲学になりますしね。
実際、この種の学位を取るのは、ハーバード大学などの研究機関で教授として生涯キャリアを積みたいと希望しているような場合です。
対してApplied Degreeは、もっと現実世界に即したものになります。職の中には博士の取得を要件としているものがあるので、それに対応するプログラムになります。例えばビジネスだとDoctor of Business Administration: DBAがあり、将来会社のCEOになりたい場合などに必要になったりします。その他、研究機関というよりも教育機関で教師をしたり、ファイナンシャルアドバイザーになりたいといった場合に取得します。
Applied DegreeはPh.D.と異なり、必ずしも学位論文を必要としません。机上の学問ではなく、現実世界で起こる問題解決にフォーカスします。
8. Professional Degree
Gradiate degree(Master’s DegreeやDoctoral Degree)はアカデミックなコースであるのに対し、Professional Degreeは、もっと実践的・職業的で、特定分野のキャリアに就くのに必要なライセンスとしての学位を指します。
例えば、分野でいうと薬学、医学、法学、ビジネス、教育学などが挙げられます。具体的には、医者になるためのDoctor of Medicine(M.D.)や、弁護士になるためJuris Doctor(J.D.)、教育現場で働くためのDoctor of Education(EdD)などです。一般的には、大学卒業後に入学する流れになります。どのくらいの期間で取得できるかは学校やプログラムによって異なり、1〜5年と幅があります。
9. Joint Degree
Double Degree, Dual Degree, Combined Degreeと呼ばれることもあります。正直、定義も呼び方もマチマチで、学校や人によって使い方が違います。多くは、「2つの異なる学位を同時に取ることができるもの」と解釈しているようです。
いずれにしても、2つの学位を別々に取得するより短い時間で取得できるというのが一致した見解なので、特に将来どんなキャリアを築いていきたいか決まっていて早くそこにたどり着きたい方に魅力的だと思います。
Joint Degree Programは無数にあって、Higher Education(高卒より上の、大学以上の教育)では、AssociateからDoctoral, Professionalまで、どんな課程であっても様々なタイプのJoint Degree Programを見つけられます。
よくあるのはProfessional Degreeとの組み合わせで、Law schoolでM.B.Aをjointするとか、Public Healthを専攻している人がM.D.をjointするというものです。
あるいは、Bachelor’s Degreeに加えて、Graduate DegreeもしくはProfessional Degreeをあわせて取りたいとき、Undergraduate(学部生)の時にGraduate(大学院課程)に応募し、4年次で大学院のコースを受け始めるという場合もあります。
さらに、2つのうち1つの学位を、海外を含めた提携大学で取ることを意味する場合もあります。
取り敢えず、ここでは
2つの学位や資格を同時に取れる!
と捉えていただいて、詳細は各大学のウェブサイトで確認したり問い合わせてください。
なお、Double Majorとは違うので混同しないようにしてください。Double Majorは関連分野において2つ専攻を同時に持つことで、通常1つの学校内にある同レベルのプログラムを取ります。例えば、ある大学のUndergraduate(大学課程)においてMusicとMusical TheaterのBachelor’s Degree Programを専攻するような場合です。
10. Teacher Certification(教員資格)
大学の中には州の教員資格をBachelor’s Degreeとあわせて取得させるところがあります。資格取得のための必修科目は州により異なります。
以上、アメリカの大学で取得できる学位や資格は大体網羅したと思います。本気で大学留学するなら、ぜひ目的に合わせて、どのプログラムやコースが一番合うか考えてみてください!