アメリカへ大学留学をお考えの方へ。
アメリカの大学に留学したら、どんな1年を過ごすんだろう?
大学留学したとして、卒業までどんなスケジュール?
そういうこと、事前に知りたいですよね?
留学する前の段階で、実際の留学生活や展望というのは中々想像できないと思います。でも予めどんなものか知っていたら心構えができるし、動揺せずに勉強を進められます。この「動揺」がクセものです。留学すると、全く異なる新しい環境放り出され、1人で生き抜くことになります。なので、できるだけ情報を事前に集めた方が余計なエネルギーを消耗せずに済みます。
特に入学から卒業までの流れや、年間の流れといったものは大変重要なので、ある程度知っておいた方がアタフタしないで済むでしょう。
本記事では、実際にアメリカの大学に入学、転校、転科、卒業した筆者の経験や友人たちの情報に基づいて、アメリカの大学4年間の流れや年間のスケジュールについて解説します。
このウェブサイトでは、留学前に絶対知っておいた方が良い情報を「アメリカ留学Tips」としてシリーズでお伝えしていますので、真剣に留学(特に大学留学)を考えている方はぜひ他の記事もチェックしてみてください。
1. 渡米から卒業までの流れ
ここでは単位移行とか、テストアウトとか、コミカレからの編入とか、転校とか考えずに、同じ大学で4年間Full-time Studentとして過ごし卒業するまでの流れを説明します。正確にいうと、Freshman、Sophomore…という呼び方は在学年数を意味しませんが、ここでは便宜上1年生、2年生…とします。(詳しくはこちら)
(1) ESL(英語学校/英語クラス)
やったぁ!!合格したぞ!!
でも。。。入学条件のTOEFLスコアがまだ足りない。どうしよー??
そういうこと、あると思います。でも大丈夫、心配無用です。英語のスコアが足りなくたって留学できます。アメリカは移民国家なので、英語を母国語としない人たちへのフォローがとても手厚いんです。
大学が求める英語力に達していない場合は、ESL(English as a Second Language)と呼ばれる英語のクラスを取ることになります。ESLは大学内に設置されている場合もあれば、大学で勧められた外部のところへ行く場合もあります。いずれにせよ、英語力によってクラスが分けられ、大学の授業についていけるくらいになるまで頑張ります。
英語力が入学条件のTOEFLスコアに全然足りないなら、まずはESLで英語の勉強に専念することになりますが、ちょっと足りないくらいなら大学のクラスをいくつか並行して取ることも可能です。
私自身はラッキーにもESLに行かずに直接大学に入学できたのですが、今振り返ると数ヶ月くらいなら行っても良かったなと思います。理由は、
- 現地の生活に馴染んだところで、もう少し余裕を持って大学での勉強を始めらる
- 日本でTOEFLの勉強をするより、現地のESLで学んだ方が確実に使える英語が身に付く
- ESLのお墨付きをもらっていたら自分の英語力にもっと自身を持てた気がする
ですが、ESLも学費が安い訳ではありませんし生活費もかかるので、長居は無用です。
(2) Freshman(1年生)
ESLを無事終了、あるいはTOEFLスコアが入学条件を満たしていたら、晴れてれっきとした大学生!学士課程1年目のFreshmanとして過ごします。渡米した直後だと尚更、全てが目新しく慣れないことばかりですが、まずは早く現地の生活と英語に慣れることを目標にしましょう。
入学式はありません。学校や寮(Dorms)では、新入生のオリエンテーションや歓迎パーティーがあったり、留学生向けの催し物を開催します。
でも、のんびりしてはいられません。矢継ぎ早に、やらなければならないことが色々あります。クラス登録、諸手続き、確認作業…と最初から結構忙しいです。
当たり前ですが、授業も生活も全て英語になるので、まずそこで「ヤバい、何言ってるか全然分からない。。。」みたいなことになり、自分の英語力の無さに愕然とします。特に、日本で英語を勉強していた場合は、Listening、Speakingで打ちのめされるのは間違いありません。例え入学条件のTOEFLスコアをクリアしていてもです。でも、そのうち慣れていくものなので、焦らず、深刻になり過ぎず、気楽な気持ちでSmall Talkを周りの人や街の人とするところから始めれば良いと思います。
International Student Adviserは皆、「留学生は最初の3ヶ月がヤマ場」と言います。彼らは留学生が学校で一番お世話になる方々で、入試前から卒業後のOPTまで、ずっとサポートしてくれる存在です。
日本人に限らず、どの国の留学生も、アメリカに来ていきなり全く違う世界に1人でポーンと放り出された感じになるので、やはり心身の負担というのは相当大きいです。どんなに海外慣れしていたって、何歳だって関係ありません。まずは最初の3ヶ月を何が何でも生き延びる、それが至上命題になります。
実は、アメリカの学生だって最初は友達づくりや学業での生き残りに必死です。留学生なら尚のこと、ハードなのは当たり前ですよ。
もし心折れそうな予感がしたら、そうなる前にSchool CounselorやInternational Student Adviser、Academic Adviser、先生、同級生…誰だって良いです。話を聞いてもらいましょう。助けを求めるのは恥ずかしいことではありません。たどたどしい英語だって構いません。とにかく周りの人に助けを求めましょう。
何とかやって行けそうなら、
積極的に自分をアピールしよう!
「最初が肝心」とはよく言ったもので、最初に上手くやれれば弾みがつくし、後々も明るく楽しく自分のペースでやって行けるので、本当に良いと思います。話しかけられるのを待っているだけでは、誰も相手にしてくれません。
アメリカ人はノリが命みたいなところがあって、面白い人は好かれます。また、何か秀でたものが1つでもあれば、一目置いてくれます。無理にキャラをつくる必要はありませんが、変顔したり、じゃれたり、面白い声を出したり、面白い動きをしたり、鼻歌を歌ってみたり、踊ってみたり、得意なことを披露したり。。。軽いノリでいけば、友達もつくりやすいです。
余裕があれば、クラブ活動をしたり、学外でもボランティア、スポーツ、イベントとか、21歳以上なら飲みに行くとか、自分から動けば交友関係が広がります。
最初の3ヶ月が経つ頃には中間テスト(Midterm Exams)も過ぎて、学校のペースを掴み、生活も落ち着いてくる頃だと思います。そうこうするうちに、あっという間に期末テスト(Final Exams)が来て最初の学期が終わります。その後の休暇では、学校の疲れを取りつつゆっくり過ごします。
次の学期では、ある程度学校にも現地の生活にも慣れる頃だと思うので、もっと勉強に集中できると思います。履修単位を増やしたり、いくつか専門科目を取ったりして、もう少し学業に力を入れていきたいところです。宿題をきちんとこなして真面目に授業に出ていれば、テストだって問題ないはず。良い成績を取れば、奨学金や就職に有利になる可能性があるので頑張りましょう!
とは言え、とにかく最初の1年はアメリカの大学生生活に慣れること。それだけで十分です。
(3) Sophomore(2年生)
多くの学校では、1〜2年生は一般教養が中心で、3年生から専攻に入ることになります。なので2年生は、自分がどんなことに興味があるか探り、どの専攻に入って勉強を続けたいか考える時期になります。3年次に上がる前には、テストがあったり、必要な基礎科目を履修しているかチェックがあります。
4年間を通して見れば、大分慣れて余計な力が抜け、気楽でありながら充実した学生生活を送ることができる、一番良い時期かもしれません。
(4) Junior(3年生)
3年生からは専門の授業に入ります。学業では専門性を高めるとともに、卒業後の進路も考え始めるときです。アメリカでは、就職は日本のようにポテンシャル採用ではなく経験者が求められるため、多くの学生はインターンシップをして経験を積み、実社会の勉強をしながらコネクションをつくっていきます。
インターンシップは必修科目になっている場合もあれば、各学生の自主性に任される場合もあります。将来のために、ボランティアでもインターンシップでも、何らかの形で将来行きたい業界に関わることをお勧めします。
(5) Senior(4年生)
最終学年の4年生は、より専門性を高めながら、これまでの総まとめをしていきます。専門によって多少違いはありますが、少人数で議論するゼミ形式のクラスがあったり、研究成果をレポートしたり、卒業制作や卒業リサイタルがあったりします。卒業直前までハードに勉強しまくることになります。学業的に一番大変なのに卒業後の進路を決めて準備しなければならないので、恐らく4年間で一番しんどい時期かもしれません。
留学生の卒業後の進路は主に次の3つになると思います。
- 大学院へ進学…大学院課程を受験
- OPT(Optional Practical Training)…学生ビザを維持しながら、卒業後1年間、専門に関連する分野で働く
- アメリカで就職…学部卒で就労ビザの取得は困難。特に欧米系の企業は経験がないと採用しない。日系企業は未経験採用があるが、ビザサポートをしてくれるところが少ない。なかなか八方塞がりの選択肢
- 日本へ帰国して就職…在学中にジョブフェアなどに参加したりして情報取集しつつ就職先を探す。帰国してから探しても問題なし
そして晴れて卒業式(Commencement)。
あのローブとハットを身にまといながら参加します。
音楽などPerformanceの学科がある大学だと、卒業生・在校生ともにお祝いのライブをしたり、フェスティバルを開催したりします。
実は、卒業単位が後もう少しでも卒業式に参加する場合があり、卒業式の後で引き続きクラスを取っている人もいます。
2. アメリカの大学の年間スケジュール
学生生活4年間の流れが分かったところで、今度は1年間がどのように進むのか見てみましょう。ここでは便宜上、ほとんどの学校が採用するSemester(2学期制)の場合を想定して説明します。日本のように祝日が多くないので、土日以外休みはほとんどありません。
8月下旬〜9月初旬
新年度の秋学期スタート。新入生のオリエンテーション、寮やInternational Student Office主催のウェルカムパーティーなどがあります。
新学期開始から1週間くらいまでがクラス登録の期間なので、締め切りまでにしっかりと必要なクラスを登録します(大抵、在校生は先に登録済)。履修するクラスが決まったら、教科書や必要なものを揃えます。教科書は結構高いので(音楽系の場合、全部揃えると$1000くらいする)、学校で中古が売られていたりレンタルできたりします。先輩からもらえればラッキー!また図書館で教科書を借りられるので、コピーしまくる人も多いです。Amazonは要チェック。
10月
中旬頃に中間テスト(Midterm Exams)があり、その直後に1週間ほどの休暇(Break)があります。
31日はハロウィンです。その前から、各お宅では庭や家の中にかぼちゃをくり抜いて置いたり、がい骨やオバケのディスプレイが見られます。ハロウィンは休日ではないので学校は通常通りありますが、中には着ぐるみや凝ったコスチュームを着たり、メイクアップしてくる人もいます。”Trick or Treat”で子供たちがお菓子をもらいますが、学校やお店、街中のイベントで誰にでもお菓子を配っていたりします。街を歩いていても皆思い思いの格好をして楽しんでいます。
11月
第4木曜はThanksgiving Dayで祝日です。学校は休みで、家族や友人が集まってご馳走を食べて過ごします。七面鳥(Turkey)やマッシュポテトなどが定番です。お呼ばれしてアメリカのご家庭でThanksgivingを味わうチャンスがあったら、ぜひ行ってみてください。
翌日はBlack Fridayと呼ばれ、1年で1番大きなセールが行われます。24時間開いているTargetなどのお店では、丁度日本の年始のセールみたいな感じで、夜中に人が押しかけ、0時のBlack Fridayになるのを待っています。
週明けの月曜はCyber Mondayと呼ばれ、ネットショッピングでセールが行われます。このようにThanksgivingを契機として大規模なセールが行われ、Christmasまでの約1ヶ月はクリスマス商戦が繰り広げられます。きらびやかで心躍るような、そして買い物が楽しい時期です。
12月
期末テスト(Final Exams)が行われ、中旬頃までに秋学期が終了します。秋学期で卒業式を行う学校もあります。
冬休み(Winter Break)に入ると同時に、皆帰省して家族とChristmasを過ごします。Thanksgivingが終わると、気づいた頃にはあちらこちらでクリスマスのデコレーションをしています。ド派手な電飾で飾るお宅もあったりして、この時期は外を歩くのも楽しいです。あくまでChristmasは25日で、イヴではありません。25日にThanksgiving同様、家族と集まってご馳走を食べるのが典型的な過ごし方ですが(やはり七面鳥とマッシュポテトは定番)、友人同士でパーティーをする人もいます。そしてギフトは欠かせません。アメリカのご家庭に招待してもらえればラッキーです。なお、中規模以下の街だと結構閉まってしまうお店が多いですが、都会だと普通にお店が開いていて、遊びに出かけたり外食したりする人が結構多いです。
– 冬休み(Winter Break) –
中には短い期間のクラスが設けられることがあります(履修は任意)。
1月
Winter Breakが開け、1月中下旬から春学期(Spring Semester)スタート。学期が始まる前に学費の締め切りと、クラス登録があります。春学期が始まって1週間くらいはクラスを追加したり取り消したり調整します。
春学期に入学する新入生もいます。
2月
ひたすら勉強。。。
3月
中旬頃に中間テスト(Midterm Exams)があり、その直後には1週間ほどの休暇(Break)があります。
4月
ひたすら勉強。春学期は1年の集大成みたいなところもあるので、秋学期より大変さが増しています。早ければ4月末近くから期末テスト(Final Exams)になります。
当然、学年が上がれば上がる程やることが難しく多くなります。Sophomore(2年生)はJunior(3年生)に上がるための確認やテスト、課題があったりします。JuniorはSenior(4年生)に上がるため、Senior(4年生)は卒業を控えて、大きなプレッシャーを抱えながら多忙を極めます。
5月
最終学期。多くは初旬に期末テスト(Final Exams)が行われ、春学期が終わります。下旬頃に卒業式が行われます。前年秋学期の卒業生とあわせて行う学校も多いです。
そしてお待ちかね、夏休み(Summer Vacation)です!
– 夏休み(Summer Vacation)-
学校の中には夏学期(Summer Session)を開講しているところがあります。受講は任意です。限定的なコース設定なのと、学費や寮費が別に発生するので、受講する人はあまりいません。でも短い期間に単位が取得できる魅力があり、卒業時期を早めたい人、ゆっくりじっくり勉強したい人にはオススメです。基本は自分の学校の夏学期(Summer Session)を履修しますが、実はどの大学も一般にコースを解放するので正規学生である必要はなく、自分に都合の良い学校・コースを選択できます。さらに通常、留学生は州立大学では州外学生用の学費を納めますが、夏学期は州内学生用の学費でよくなるので大変お得です。
とは言え、ほとんどの学生は帰省します。留学生も帰国する人が多いです。皆、バイト、ボランティア、インターンシップなど別の活動をしたり、楽しく過ごして日頃のストレスを発散しています。