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アメリカ留学 Tips 5 行ってはイケナイ大学

留学準備
この記事は約14分で読めます。

アメリカへ大学・大学院留学をお考えの方へ。質問です。

「認定(Accreditation)」って聞いたことがありますか?

ちょっと怖いことを言いますが、もし知らずに留学したら、後で人生詰みます。「認定(Accreditation)」は、アメリカ留学希望者にとって知らなくてはならない超重要事項の1つです。でも恐らくこれをちゃんと説明できる留学生や留学エージェントは意外と少ないのではないかと思います。

私は留学エージェントを使わず、一から自分で調べてアメリカの大学に入学、転校、転科、卒業しました。自分の経験や多くの友人の経験を踏まえて、皆さんにアメリカ留学に関する情報をシェアします。

本記事では、日本ではあまり馴染みのないアメリカの大学の「認定(Accreditation)」というシステムにフォーカスします。あなたの留学を成功させるため、大学選びをする前に、何度も「アメリカ留学Tips」シリーズを見返して理解を深めて頂けると嬉しいです。

1. 大学、プログラムの「認定(Accreditation)」確認はマスト!

アメリカの大学には「認定(Accreditation)」というのがあるのを知っていますか?

実は、この「認定(Accreditation)」というのは大学・大学院留学するなら絶対知らないといけない超重要事項の1つです。

日本を含む多くの国では、政府が大学の教育水準を管理しています。

しかし、アメリカでは州政府が独自に公立、私立の学校を認定する制度はあるものの、連邦政府が直接大学を管理することはありません。The United States of America 、読んで字のごとく、アメリカは各州が1つの国のようなもので、そんな50州が結び付いてできています。当然、州によって教育のあり方が全く異なります。

そのため現実的には困った問題が起きます。例えば、ワシントン州のAという大学の単位を取得して、カリフォルニア州の大学Bに転校したい場合、転校先の学校Bでは他州の学校Aの単位を評価できないため、単位移行することができず、また1から始めなければなりません。

あるいは、ワシントン州のA大学で学位を取得し、ニューヨーク州で働きたい場合、採用企業ではA大学の学位をどう評価すれば良いかわからない。

こうしたトラブルを防ぐためには、州を超えて教育機関やプログラムの質が一定の水準を満たしているかを示す保証のようなものが必要になります。

そこで、NPOによる「公認の」認定団体や認定協会で、ある一定基準を満たし、かつ、維持している学校やプログラムに「認定(Accreditation)」を与えています。この「認定(Accreditation)」は教育機関の質を正規に保証するものです。

日本人の私たちは、アメリカのこうしたシステムに馴染みがありません。しかし、アメリカ大学留学を考えるなら、学校を探す際には、「公認の認定機関」から認められた「認定大学」か、また、「認定プログラム」かを確認することがマストです。

2. 「公認」の認定機関から認定を受けているか

「公認」の認定機関、というのがまたややこしいのですが、実はアメリカでは前述の「認定」、「認定団体」、「認定協会」という言葉を使用するのに法的な規制がありません。つまり自称「認定」と言えてしまいます。

そのため「公認」の認定機関から、行きたい大学やプログラムが認定を受けているかどうか確認することが必要なのです。行きたい学校が公認の認定機関から認定されているかは、次のどちらか、あるいは両方を満たしていることが条件となります。

  1. 米国教育省(U.S. Department of Education: USDE)によって認定されている。認定された教育機関とプログラムのデータベースをウェブサイトで見ることができます。
  2. 高等教育認定評議会(Council for Higher Education Accreditation: CHEA)あるいは、専門分野認定団体協会(Association of Specialized and Professional Accreditors: ASPA)に加盟している。加盟している大学、プログラムの確認はそれぞれのウェブサイトで確認できます。

アメリカには4,000以上の大学が存在しますが、まず最初に米国務省U.S. Department of Education (USDE)から大学としての認定を受けているかどうか確認します。ここから認定を受けていないと、Federal Aidという連邦政府が行う学生への財政援助(要は学生ローンですが、留学生は使えません)の対象校から除外されてしまいますし、他校へ転校することができず、マスターやドクターなど上の学位を取得することができず、さらに就職する上でも学位を認めてもらえない可能性が高いです。

更にCouncil for Higher Education Accreditation (CHEA)という機関は、より難しい評価を行うので、必須ではありませんがこちらの認定も受けているのが望ましいとされます。

3. 「認定(Accreditation)」の種類

「認定」は大きく分けると次の2種類、細かく分けると3種類あります。

(1) 学位授与機関として認められた機関認定。つまり、大学としての認定です。この機関認定は、さらに2種類あります。

 ① 地域認定(Regional Accreditation)

 ② 全国認定(National Accreditation)

(2) プログラム認定(Programmatic Accreditation)。これは、各学部や各学科を対象とした専門分野における学位プログラムの認定です。

(1) 機関認定(Accredited School)

前述の機関認定に関して、地域認定(Regional Accreditation)と全国認定(National Accreditation)では、一見全国の方が認定要件が厳しく思えます。しかし、実は、一般的に地域認定(Regional Accreditation)の方が厳しく、上位とされます。

教育機関によっては、地域認定の基準を満たせない、あるいは満たしたくないという理由で全国認定を受けているところがあります。例えば、地域認定団体は、カリキュラムの1/4〜1/3を一般教養科目に当てることを義務付けていますが、一部の専門教育機関は一般教養の割合を増やさず専門分野にフォーカスしたいと考えています。また宗教団体が設立した大学では、その宗教上の理由から公認の認定団体が求める学問の自由の基準を満たせない場合があります。

地域認定(Regional Accreditation)、全国認定(National Accreditation)、いずれにせよ、必ず米国教育省(U.S. Department of Education: USDE)が認める公認の認定機関(Accreditation Agencies)から認定を受けていることが必要です。

下記に公認の認定機関をまとめました。

① 地域認定(Regional Accreditation)

アメリカは大きい国なので地方ごとに認定機関が異なります。USDEが認めているRegional Accreditation Agenciesは全米で7つ、CHEAもあわせて認めている機関は全米で6つだけです。

Regional AccreditorsUSED recognizedCHEA recognized
Middle States Commission of Higher Education (MSCHE)
対象地域:
Delaware, Disrtrict of Columbia, Maryland, New Jersey, New York, Pennsylvania, Puerto Rico, Virgin Islands
YesYes
New England Association of Schools and Colleges
・Commission on Institutions of Higher Education
(NEASC-CIHE)
・Commission on Technical and Career Institutions
(NEASC-CTCI)
対象地域:
Connecticut, Maine, Massachusetts, New Hampshire, Rhode Island, Vermont
YesYes
The Higher Learning Commission (HLC)
対象地域:
Arizona, Arkansas, Colorado, Illinois, Indiana, Iowa, Kansas, 
Michigan, Minnesota, Missouri, Nebraska, 
New Mexico, North Dakota, Ohio, Oklahoma, 
South Dakota, West Virginia, Wisconsin, Wyoming
YesYes
Northwest Commission on Colleges and Universities (NWCCU)
対象地域:
Alaska, Idaho, Montana, Nevada, Oregon, Utah, Washington
YesNo
Southern Association of Colleges and Schools (SACS) Commission on Colleges
対象地域:
Alabama, Florida, Georgia, Kentucky, Louisiana, Mississippi,
North Carolina, South Carolina, Tennessee, Texas, Virginia
YesYes
The Accrediting Commission for Schools, Western Association of Schools and Colleges (WASC)
対象地域:
American Samoa, California, Guam, Hawaii,
Trust Territory of the Pacific
YesYes
The Accrediting Commission for Community and Junior CollegesYesYes

② 全国認定(National Accreditation)

National Accreditationの認定機関は次の通りです。

< Faith-based Accreditors >

AccreditorsUSED recognizedCHEA recognized
Association of Advanced Rabbinic and Talmudic Schools (AARTS) – Accreditation CommissionYesYes
Association of Biblical Higher Education (ABHE) – Commission on AccreditationYesYes
Association of Theological Schools (ATS) – Commission on AccreditingYesYes
Transnational Association of Christian Colleges and Schools (TRACS) – Accreditation CommissionYesYes

< Career-related Accreditors >

AccreditorsUSED recognizedCHEA recognized
Accrediting Bureau of Health Education Schools (ABHES)YesNo
Accrediting Commission of Career Schools and Colleges (ACCSC)YesNo
Accrediting Council for Continuing Education and Training (ACCET)YesNo
Accrediting Council for Independent Colleges and Schools (ACICS)YesNo
Council on Occupational Education (COE)YesNo
Distance Education and Training Council – Accrediting Commission (DETC)YesYes
National Accrediting Commision of Career Arts and Sciences, Inc. (NACCAS)YesNo

③ 全国認定(National Accreditation)しか受けていない大学へ入学するとき、転校・進学するときの注意

地域認定(Regional Accreditation)を受けてない大学でも、とりあえず全国認定(National Accreditation)を受けていれば一先ず安心です。

しかし、全国認定しかない学校への入学を考えている場合には注意が必要で、次のことを事前に確認しておく必要があります。

  • アメリカの大学卒業後、日本での進路を考えるなら、その日本の組織(政府、団体、企業、教育機関)が地域認定ではなく、全国認定の大学の学位を認めてくれるか?
  • アメリカの大学卒業後、イギリスなど他の国の大学院へ進学希望なら、その国の教育機関がアメリカの全国認定の大学の学位を認めてくれるか?
  • その大学の卒業生の進学や就職はどうか?取得した学位を活用し進みたい道へ進めているか?

さらに、地域認定(Regional Accreditation)の大学は、全国認定(National Accreditation)の大学、あるいは、他の地域の地域認定(Regional Accreditation)を受けている大学の単位や学位を基本的に認めてないので、アメリカ国内で転校、進学する場合も注意が必要です。

例えば、こんなトラブルがあったよ

私がMcNallyに入学した頃、McNallyから地元の名門州立大University of Minnesotaへ転校した学生がMcNallyに対して裁判を起こしていました。彼女はMcNallyで取得した単位が移行出来るとMcNally側で説明を受けて転校したそうですが、実際University of Minnesotaに入ると全く単位を認めてもらえなかった。説明が違うと訴えを起こしたそうです。

彼女の気持ちは分かるのですが、受け入れ先のUniversity of Minnesotaに確認をしなかった点は彼女の落ち度です。これは、McNallyは全国認定(National Accreditation)の学校、University of Minnesotaは地域認定(Regional Accreditation)の学校であることを知っていれば未然に防げたトラブルですが、アメリカ人の学生ですら「認定」のことを知らなかったという例です。

なお、McNallyを卒業して、University of Minnesotaをはじめ他大学でマスターやドクターを取る人も沢山いたので、学士としての資格はちゃんと他大学でも認められていた思います。

(2) プログラム認定(programmatic Accreditation)

機関認定とあわせて学位プログラムや学科が認定されているか確認します。これは、その学位プログラムが正当かつ最新で、適正な教授陣が揃っていることを保証するものです。

公認プログラムの認定を受けているかどうかは、高等教育認定評議会(Council for Higher Education Accreditation: CHEA)あるいは、専門分野認定団体協会(Association of Specialized and Professional Accreditors: ASPA)のウェブサイトで確認できます。

専門分野によっては、就職する際にプログラムの認定を受けていることの方が、大学の機関認定より重要な場合もあります。特定の職業を検討している場合は、予め調べておきましょう。

例えば、機関認定に加え、その学校のMBAプログラムがAACSB(The Association to Advance Collegiate Schools of Business) からの認定を持っていれば、それは優良なプログラムである証となります(必須ではありません)。

私のように専門が音楽である場合、音楽分野で高い評価を受けている学校であればプログラム認定を気にしなくてもよいでしょうが、基本的にはNational Association of School of Music (NASM)から音楽プログラムの認定を受けているか確認するべきです。

音楽を含む芸術系の認定機関はこちらでチェックできます。認定を受けている学校を検索したり、ブランクで検索をかければ認定校の一覧を見ることができます。

なお、CHEAが承認している大学の認定および各プログラムの認定を行う全認定機関はこちらの一覧でチェックできます。

4. 「認定(Accreditation)」を受けていない大学に入学したら人生詰む話

公認の地域認定(Regional Accreditation)、あるいは、全国認定(National Accreditation)受けていない学校へ入学したらどうなるでしょうか?

例えば、「機関認定」の確認をせず、知らずに認定されていない大学へ留学した場合、自国でローンや奨学金、その他の優遇措置を受けることができないことがあります。また、地域認定(Regional Accreditation)を受けている大学の学生にしか教育ローンを提供しない国も多いようです。(※留学生はアメリカ連邦政府の奨学金の対象にはなりません。)

また、機関認定を受けている大学へ単位移行ができない、学位を認めてもらえない。アメリカだけでなく、アメリカ国外でも認めてもらえない。。。必死に勉強して卒業したとしても、アメリカ国内外において単位も学位も評価されず、大学を卒業したと見なしてくれない、なんてことが起こり得ます。結局、卒業時に「こんなはずじゃなかった」と後で泣くはめに。

繰り返しになりますが、行きたい大学が教育機関として認定を受けているか、どんな認定を受けているか、プログラム認定を受けているかは事前に確認しておきましょう!認定があるかどうかは、各大学のウェブサイトおよび認定機関のウェブサイトで確認できます。また直接学校へメールで問い合わせても良いでしょう。

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