もし、あなたが音楽が大好きで本気でやりたいと思ったら… 私は全力で
日本を飛び出して海外で音楽を勉強することをオススメします!
今、私たちの周りにある音楽は欧米がルーツとなっています。留学して本場で音楽を学ぶ意義はとても大きいです。音楽=文化そのものであり、何故そういう音楽が生まれたのか、その国の人間・社会をより深く理解し、本能や感覚を研ぎ澄ますし、表現し、音楽の可能性を感じることができる。そして、更に日本を深く知ることができる… 留学することで、人間としてもミュージシャンとしても、大きく成長できます。
中でもアメリカは音楽産業が世界シェアNo. 1。世界中の音楽、ミュージシャンが集まります。そしてアメリカには世界屈指の音楽教育があります。ジャンルに関わらず、あなたのレベルに関わらず、求めれば専門教育を与えてくれる国です。
実際、私はアメリカの大学で音楽を学びましたが、本当に吸収するものが多かった。日本にいたら絶対に得られないものだと確信しています。
以下、なぜアメリカで音楽を学ぶことを勧めるのか、その理由をを説明します。
1. アメリカでは音楽がとても身近
(1) アメリカは「音」で溢れている
日本では「静けさを守る」ことが美徳の1つのとされます。対照的に、アメリカは「音」で溢れています。渡米したら、はじめは「音の大きさ」と「いつも聞こえてくること」にビックリするかもしれません。
そもそも、アメリカ人は話し声からデカくてお喋り好き。家だろうが、外を歩いていようが、皆大声でペチャクチャ会話したり電話しています。音楽も、会話の一部というくらい生活に密着しています。
アメリカの人は家だろうが公共の場だろうが大音量で音楽を聴くことが多いです。電車やバスでも、
オレが聴きたいから聴く。いつどこでなんか関係ないぜ!
と音量MAXで垂れ流す人もいるし、
Coolだろ〜、皆で聞こうぜ!
と周りに聴かせるように爆音で流す人もいます。
それに対して、怒る人はいません。たまたま居合わせた人の中には、曲に合わせてノッたり、歌ったりする人も。また、そこから会話が生まれたりします。様々な種類の音楽があちらこちらから聞こえてくる…ごくごく日常の風景です。
パフォーマンスする人もとても多いです。ストリート、アミューズメントパーク、駅、空港、カフェ、バー、レストラン、ホテル…人がいる場所には必ずといって良いほど、パフォーマー、特にミュージシャンがいます。ミュージシャンを呼んで演奏してもらうこともよくあります。
さらに、アメリカはキリスト教の国で、教会が至る所にあります。教会では、音楽が演奏され皆が歌います。ゴスペルはもちろん、ロックやポップスに近い音楽の場合もあります。流石に毎週日曜に教会へ行く敬虔なクリスチャンは少なくなりましたが、それでも教会は身近な存在で、アメリカ人の生活の根底にはキリスト教と音楽があります。
また、何かしら楽器をやる人も多いです。日本ではピアノが多いですが、アメリカではドラムやギターをやっている子が結構います。
わざわざライブ会場やコンサートホールに行かなくても、生活の中で、生の音楽に触れる機会が沢山あります。
(2) 街中にアート、音楽が根付いている
日本では最近ストリートピアノが流行っていますね。でも私がいたTwin Citiesでは、ずっーと前から、行政主導で夏になると街中にストリートにピアノを置いています。
アーティストを募集して何十台ものピアノをペイントしてもらい、既にピアノ自体がアートになっています。そういうピアノを夏の間、「誰でもお好きに弾いてください」と街中のストリートに野ざらしで置きます。
私は日本で長年地方公務員をしていましたが、日本の行政にはそんな発想なんてないし、絶対マネできないことだと思います。そのダイナミックさというか懐の深さというか、アートが根付くってこういうことなんだと感動しました。
また、Twin CitiesはMinneapolis市とSt. Paul市あわせて人口73万人くらいの都市なのに、ミュージカルシアターが数え切れない程あります。私がその後に住んだ全米第3の都市、Chicagoは、ブルース、ソウル、ゴスペル、ジャズ、クラシック…あらゆる音楽の拠点の1つで、ライブ、ミュージカル、フェス、コンサートなど様々なショーが毎日無数にあります。
アメリカではプロの公演を見るのも安いです。もちろん、有名な人、人気がある人は日本と同様高いです。でも、老舗のお店でブルースやジャズを聴くのにチケットが$10未満のこともあります。素晴らしいライブがそんなに安く観れるのは、やはり音楽が根付いているからだと感じます。
前述の通り、カフェ、バー、レストラン、アミューズメントパーク、フリーマーケット、公園、駅、ストリート、空港、地元のお祭りなどで無料で生の演奏を聴くこともできます。地元のお祭りといっても、室内のちゃんとしたステージだったり、特設ステージを組んで野外フェスのようにやったりします。規模も大きければ、レベルも高い、本格的なものです。
こんな風に、普通に生活している中で生の良い音楽に触れられる機会が圧倒的に多いです。
2. アーティスト、ミュージシャンに対するリスペクト
アメリカは、そもそも人を褒める文化なので、皆何かしら褒めちぎってくれます。褒められると、
めちゃくちゃ気持ち良い〜!!
褒められて育つことっていっぱいありますよね。なぜ、今の日本はダメ出しすることが多いのでしょう?否定するより、良いところを褒めた方が皆ハッピーじゃないですか?
特にアメリカでは、アーティストやミュージシャンに対するリスペクトをとても感じます。プロだろうがアマだろうが関係ありません。大して上手くなくたって、技術的なことはそんなに問題じゃありません。芸術に従事しているだけで、尊敬の対象となるんです。
しかも皆イベント好きなので、何かやりたいと言えば、できる範囲で協力を惜しみなくしてくれる。周りの人も喜んでパフォーマンスする場所を提供してくれます。私もカフェやレストランでパフォーマンスしましたが、無償で場所を貸してくれた上に、お店の方のお気持ちでドリンクや軽食をいただきました。
そして、たまたま居合わせた人も、パフォーマンスを見て気に入ったら、ちゃんとパフォーマーに声をかけて褒めたり、労ったり、チップを渡したりします。そういう評価の仕方も、素敵だなと思います。
3. 感情を剥き出してナンボの世界
日本だと感情を出すことは、社会的に「はしたない」とされます。「自分を出す」ということも中々難しい。常に周りの目を気にします。
でも、アメリカは真逆。アメリカ人は喜怒哀楽をそのまま出してきます。感情を剝きだすことは悪いことではなく、自分を出さないと成立しない社会です。食ってかかってきたかと思えば大声で笑ったり、歌ったり踊ったり。自分のしたいようにするし、他人の目なんか関係ない。何とういうか、とても動物的。
日本人に比べて直情的で、次の言葉や展開を待ったり、様子を見て判断するってことをあまりしません。先々のことは読まないし、周りの人のことも気にしない。自分中心に世界が回っているという感じの人も多い。大人気ないと、日本人の私はイラっとすることが多いです。
でも、そういう国民性だから、音楽も感情豊かなんだと思います。
私自身は、長く日本で社会人をしている間に「自分」が縮こまって出せなくなったと感じていました。音楽をする=「自分を解放する」ことですが、それには日本にいるよりアメリカへ行った方が良いと思ったんです。
実際留学してみて、私は知らないうちに色んな壁を持っていたんだと分かりました。日本にいたら、あることも気づかない壁。当たり前だと思っていたことが当たり前じゃない世界へ行ったから気付けた。アメリカに行ったことで、自分にあった無意識下の常識も、意識にあった常識も崩れていきました。
そして少しずつ、「自分のやり方」で「自分を出す」ことを始めていきました。
4. 誰だって音楽を本格的に大学で学べる
まず、日本では、「音大へ行く=幼少期から音楽の英才教育を受けている」ってことが前提になると思います。
ピアノが好きな職場の先輩は、
音大のピアノ科を受けるのに毎日12時間練習しなくちゃいけなかったから、音大は諦めた
と言っていました。でも、そんなに時間、お金、エネルギーを費やしても、ミュージシャンとして生計を立てられるのはほんのひと握りしかいない。そんなの変だと思いませんか?コスパが悪いし、潰しが利かず将来性がない。
でも、アメリカは違います。音楽を勉強したいと思ったら、いつでも誰でも大学で学べます。しかも、大概の大学には音楽科があります。大学へ行く前に、わざわざ英才教育を受けている必要はありません。
日本の音大だとクラシックのパフォーマンスが主流になると思いますが、アメリカだとクラシックだけではなくジャズ、コンテンポラリー、ラップ、ミュージカルシアター、映画音楽といった様々な音楽が学べ、専攻もパフォーマンスだけではなく、音楽ビジネス、プロダクション、エンジニアリングなど幅広くあります。
そして日本の音大の授業に比べると、アメリカの大学は、より哲学的、論理的、実践的です。マスター以上の学位を持っている先生方、そして音楽業界で実際に活躍されている先生方が指導してくれます。エンターテイメントで世界のトップに君臨するアメリカで、音楽を勉強する意義というのはとても大きいです。
特に、音楽ではどの先生に師事するかが一番と言っても良いくらい重要です。音楽人生のかなりの部分に影響を受けるので。そういう意味でも、アメリカで音楽を勉強する方が良いと思います。さらに歌の場合は、「言葉」の発し方、発音の仕方が重要となりますが、英語の歌を歌いたいなら、ちゃんと音楽教育を受けてきたネイティブの先生に習った方が良いです。
余談ですが、日本の巷にあるヴォーカル教室などでは、特に資格がある訳ではないので、ちゃんとした専門教育を受けていない方でも自称で「ヴォーカルコーチ」を名乗れます。
知識もなく、訓練されていない人が他人に教えるってどういうこと??
と思ってしまいますが。
音大出身の先生は信頼性がありますが、正直なところ、日本の音大の授業内容を聞くと、体の使い方やブレスマネジメントを論理的、体系的に教えてないのかな?と感じます。
その昔、日本の音大では
全部裏声で歌って!喋り声から裏声で!!
という指導がされていたというから驚きです。さすがに今はあまりないかもしれませんが、ご高齢の先生だと、こういう指導をする方がいるかもしれませんね。
また、「骨格論」を振りかざして、
日本人は外国人の骨格と違うから、外国人のように歌えない
という人もいます。10年くらい前までは歌を歌う日本人の常識みたいに言われていました。
でも、アメリカで勉強したら、これらは全くもってナンセンスだと分かりますよ。
5. アメリカなら音楽で生計を立てられる
前述のようにアメリカは音楽が根付いた国であるため、ミュージシャンとして生計を立てるのは難しいことではありません。アメリカには沢山の音楽関連の仕事があります。定職につかなくても、カフェやレストランで流しでやって相当なお金を手にすることもできるし、トレーラーで全米ツアーをして生計を立てる人もいます。
ただ、現状としてはアメリカで就労したり、アーティストビザを取得するのは難しいので、外国人である日本人の私たちがアメリカでミュージシャンとして駆け出すのはかなり厳しいです。
とは言え、実際にアメリカの音楽業界で働いている友人もいますし、少なくとも日本とアメリカのミュージシャンを比較し、自分なりのキャリア・パスを考えることはできます。
アメリカで音楽を学ぶのは本当に素晴らしいこと。
ミュージシャンとして自我を確立し、成長できる。
もちろん、悩んだり苦しんだりすることはあるけど、そういった経験も成長の糧になるよ