最近よくアメリカで言われるKarenてどんな人のことを指すの?
“karen”は女性の名前ですが、ある特定の人たちを指すスラングとして使われています。
丁度、最近のニュースで面白いものがあったのでご紹介したいと思います。シカゴ市長Lightfootさんとホワイトハウス報道官のKayleighさんがバトったという記事です。Lightfoot市長は黒人女性でLGBTQ、民主党とされています。Kayleigh報道官は白人女性でもちろん共和党。
Kayleigh報道官は記者会見の中で、シカゴの銃犯罪をLightfoot市長はきちんと制御できていないとして、
”the derelict mayor of Chicago (怠慢なシカゴ市長)”
と呼んだのを受け、Lightfoot市長が次のようにTwitterで応戦したのです。
”Hey Karen, watch your mouth”
実際シカゴは銃犯罪が多いけど、Covid-19、Black Lives Matter関連の抗議で荒れている中で、市長はかなり慎重によくやっていると思います。>>>シカゴの犯罪についてはこちらをどうぞ。
まぁこれは、明らかに大統領選を目前に控えた共和党と民主党のちょっとした諍いな訳ですが、市長が何故Kayleigh報道官をKarenと呼んだのか、その意味を知っていると市長やるなとププッと笑えてきます。一体Karenてどんな人でしょうか?CNNの記事ではこんな風に説明されています。
“”Karen” is a moniker for a stereotypically rude, middle aged White woman – the type who demand to “speak to the manager” or call the police on Black people in innocent situations.”
Karenはインターネット上のスラングで、少し補足説明を加えると、こんなイメージです。
- 迷惑な中年白人女性で
- 時代遅れの髪型をしていることが多い
- 自分が正しい、優先されるべきとの図々しい態度を取り、
- 「上の人呼んで」と要求する、または警察に通報する(実際通報することもあるし脅しもある)
- 黒人に対して人種差別的行動を取る
- 頭に血が上ると暴言を吐いたり、ツバを吐く(パンデミック中に!)、暴力行使に出ることもある
つまり見ていて超不愉快な迷惑オバサンです。日本でも似たようなオバサンはいますが、Karenは遥かに上を行っています。丁度、中年女性に多い名前で、こんな使われ方をしているようです。SNSにリアルKarenがいっぱい投稿されているので興味のある方は探してみてください。
例えば、Black Lives Matterの抗議活動の引き金となったGeorge Floyedさんの事件がミネアポリスで発生した同日に、ニューヨークでこんなKaren事件がありました。セントラルパークででバードウォッチングをしていた黒人男性が近くの白人女性に「公園の規則通り犬にリードを付けて」と注意したところ、その女性が癇癪を起こして「黒人男性に命を脅かされている」と警察に通報したのです。
何とも馬鹿げた話ですが、こんな愚かなことが本当に起こるのがアメリカ。そして人種差別もまだまだ根強い。場合によってはこうした大袈裟な行動と警察の行き過ぎた権力行使により、George Floyedさんのような不慮の死者が出てしまう恐れがあります。George Floyedさんの件も、立ち寄ったお店の店主が偽札を疑って警察に通報していますが、その真偽は報道されておらず分かりません。
さて、話をLightfoot市長に戻します。 ”Hey Karen, watch your mouth”のwatchは「見る」から転じて「気をつける」「注意する」という意味でも使われます。”Watch your steps(足元注意)”は耳にしたことがあると思います。 mouthは「口」から転じて「発言」「言葉」という意味でも使われます。市長は「カレン、口を慎みなさい。」と言っています。watch your mouthは不快な発言があったときに嗜めるような言葉で、年上の人が年下の人に使ったりします。実際、Lightfoot市長の方がKayleigh報道官より年上ですし、Karenとあわせて上手いこと言うなとクスッと笑えます。
と言っても、Kayleigh報道官は30代前半でお洒落な美人さんだし、話しているのを見ていると頭脳明晰な感じです。